環状肉芽腫

執筆者:Julia Benedetti, MD, Harvard Medical School
レビュー/改訂 2020年 7月
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環状肉芽腫は,丘疹または結節が遠心性に拡大して,正常またはわずかに陥凹した皮膚の周囲に環状の病変を形成することを特徴とする,良性かつ慢性の特発性疾患である。診断は臨床的評価のほか,ときに生検による。治療はコルチコステロイドの外用または病変内注射,タクロリムスの外用,凍結療法,および光線療法による。

環状肉芽腫の病因

環状肉芽腫の病因は不明であるが,提唱されている機序としては,細胞性免疫(IV型),免疫複合体性血管炎,および組織単球の異常などがある。環状肉芽腫患者で多くの疾患,感染症,薬剤,および環境因子が報告されているが,いずれについても関連は依然として不明である。本症は女性に男性より2倍多くみられる。

環状肉芽腫の症状と徴候

病変は紅色,黄褐色,青色調,または周辺部の皮膚と同じ色を呈し,単発性のこともあれば多発性のこともあり,足背,下肢,手,および手指に好発する。通常は無症状であるが,ときに圧痛を生じることもある。病変はしばしば拡大し,つながって環状病変を形成する。それぞれの環の中心部は,正常であるか,わずかに陥凹しており,ときに蒼白色または明褐色を呈する。一部の症例では,病変が汎発化して播種性に拡大することがある。

環状肉芽腫
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この画像には,環状肉芽腫の典型的な皮膚病変が写っている。病変は環状で,中心消退傾向がみられる。
Image provided by Thomas Habif, MD.

環状肉芽腫の診断

  • 臨床的評価

  • ときに生検

環状肉芽腫の診断は通常,臨床的に行うが,皮膚生検で確定診断が可能である。体部白癬(中心治癒傾向を示す隆起性の環状病変が形成されることがある)とは異なり,環状肉芽腫は典型例では鱗屑を生じず,そう痒を伴わない。

環状肉芽腫の治療

  • 限局性の病変には,ときに強力なコルチコステロイドの外用または病変内注射,タクロリムスの外用,凍結療法,および/または光線療法

  • 広範な病変には,ときにヒドロキシクロロキン,イソトレチノイン,ジアフェニルスルホン,および/またはシクロスポリン

治療は通常不要であり,自然に消退するのが一般的であるが,何年もかかることがある。比較的広範な病変や煩わしい病変がある患者では,より迅速な消退が望まれる場合がある。

限局性の病変に対しては,強力なコルチコステロイドの外用または病変内注射,タクロリムスの外用,凍結療法,および多様な光線療法が用いられることがある。

広範な病変に対しては,ヒドロキシクロロキン,イソトレチノイン,ジアフェニルスルホン,およびシクロスポリンにも奏効例が報告されている。

腫瘍壊死因子(TNF)α阻害薬による治療は,環状肉芽腫の治療に効果的と報告されているが,一部の患者では潜在的な誘発因子としても報告されている。

環状肉芽腫の要点

  • 環状肉芽腫の診断は臨床的に行う(例,中心治癒傾向を示し,鱗屑を伴わない特徴的な環状病変を認める)。

  • 症状が煩わしい場合は,様々な外用療法,全身療法,および/または光線療法を考慮する。

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