汗腺にはアポクリン腺とエクリン腺の2種類がある。
アポクリン腺は腋窩,乳輪,性器部,および肛門部に集簇するほか,修飾されたアポクリン腺が外耳道にみられる。アポクリン腺は思春期に活性化し,その分泌物は脂ぎって粘稠度が高く,嗅覚を介した性的アピールとしての役割をもつと考えられている。最も一般的なアポクリン腺の障害は以下のものである:
化膿性汗腺炎 化膿性汗腺炎 化膿性汗腺炎は,腋窩,鼠径部,乳頭周囲,および肛門周囲に発生して瘢痕化する,ざ瘡様の慢性炎症による病態である。診断は診察による。治療法は病期により異なる。 化膿性汗腺炎は現在では,毛包および関連構造の慢性炎症性疾患と考えられている。毛包の炎症とその後の閉塞により,毛包が破裂して膿瘍,瘻孔,瘢痕が形成される。 腫脹して圧痛を伴う腫瘤が生じ,皮膚膿瘍に類似する。それらの病変はしばしば無菌である。慢性例では疼痛,波動,排膿,瘻孔形成が特徴であ... さらに読む でもアポクリン腺が侵されるが,これについては,本マニュアルの別の箇所で考察されている。
エクリン腺は交感神経に支配されており,全身に分布し,出生時から活動する。その分泌物は水性で,高温環境や運動時に身体を冷却する働きを担っている。エクリン腺の障害としては以下のものがある: