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パラインフルエンザウイルス感染症

執筆者:

Brenda L. Tesini

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

レビュー/改訂 2021年 9月
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パラインフルエンザウイルスはパラミクソウイルスであり,1型,2型,3型,および4型に分類される。これらのウイルスは,共通の抗原交差反応性を有するが,引き起こす疾患の重症度は異なる傾向がある。4型はムンプスウイルスと抗原交差反応性をもち,治療を要する呼吸器疾患の原因となることはまれである。

小児におけるパラインフルエンザウイルス感染症のアウトブレイクは,保育所,小児病棟,および学校で起こりうる。1型および2型は秋に流行を引き起こす傾向にあり,それぞれの血清型が2年毎に交互に現れる。3型による疾患は風土病で,1歳未満の大部分の小児に感染する;発生率は春に上昇する。

パラインフルエンザウイルスは反復感染を引き起こす恐れがあるが,再感染時は一般により軽症である。このため,免疫能が正常な成人では,ほとんどの感染症は無症候性または軽度である。

小児で最もよくみられる病態は上気道感染症であり,発熱はあっても微熱である。

パラインフルエンザ1型は,主に生後6~36カ月の乳児における クループ クループ クループは上下気道の急性炎症であり, 1型パラインフルエンザウイルスの感染によって引き起こされることが最も多い。金属音様で犬吠様の咳嗽と吸気性喘鳴(stridor)を特徴とする。診断は通常臨床的に明白であるが,頸部X線の前後像によっても診断可能である。治療では,解熱薬,水分,霧状のラセミ体アドレナリン,およびコルチコステロイドを投与する。予後は極めて良好である。 クループは主に生後6カ月から3歳の小児が罹患する。... さらに読む クループ (喉頭気管気管支炎)の原因としてよくみられる。クループは感冒症状で始まる。後に発熱,犬吠様咳嗽,嗄声,および吸気性喘鳴(stridor)が発生する。上気道閉塞による呼吸不全はまれであるが,起これば死に至る可能性のある合併症である。パラインフルエンザ2型は同様の疾患を引き起こす可能性があるが,通常はより軽度である。

パラインフルエンザウイルス3型は,幼若乳児ならびに易感染性状態にある小児および成人に 肺炎 易感染性患者における肺炎 易感染性患者における肺炎はまれな病原体により引き起こされることが多いが,市中肺炎の病原体と同じ病原体によって引き起こされることもある。症状および徴候は病原体および免疫系を侵している病態によって異なる。診断は血液培養と気管支鏡による呼吸器分泌物の採取に基づくほか,ときに定量培養を用いる。治療法は免疫系の障害と病原体によって異なる。 ( 肺炎の概要も参照のこと。) 免疫防御系が障害されている患者において,肺炎を引き起こす可能性のある病原体は... さらに読む および 細気管支炎 細気管支炎 細気管支炎は,生後24カ月未満の乳児が罹患する下気道の急性ウイルス感染症で,呼吸窮迫,呼気性喘鳴(wheezing),および/または断続性ラ音を特徴とする。診断は病歴(既知の流行期間中の発症など)により疑われ,主要な原因,つまりRSウイルスは迅速測定で同定可能である。治療は酸素および水分の補給による支持療法である。一般的に予後は非常に良好であるが,中には無呼吸または呼吸不全を起こす患児もいる。... さらに読む を引き起こしうる。これらの疾患は, RSウイルス RSウイルス(RSV)感染症およびヒトメタニューモウイルス感染症 RSウイルス感染症とヒトメタニューモウイルス感染症は,特に乳児および幼児において,季節性の下気道疾患を引き起こす。無症候性ないし軽症で済むこともあれば,細気管支炎や肺炎を伴った重症となることもある。診断は臨床的に行うのが通常であるが,臨床検査による診断も可能である。治療は支持療法による。 ヒトに感染するウイルスの大半は成人と小児の両方に感染するが,それらについては本マニュアルの別の箇所で考察されている。新生児に特異的な影響を及ぼすウイル... さらに読む により引き起こされる疾患と一般に鑑別できないが,より軽症であることが多い。

通常,具体的なウイルスの診断は臨床上不要であるが,重症下気道疾患の患者ではパラインフルエンザウイルス感染症を細菌感染症と鑑別する一助となる場合がある。このウイルスは,通常は一般的な呼吸器病原体に対するマルチプレックスパネルを用いる,ポリメラーゼ連鎖反応法によって検出することができる。

パラインフルエンザウイルス感染症の治療は対症療法である。

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