M. catarrhalisはBranhamella catarrhalisとしても知られる。
M. catarrhalisは以下の原因となることが多い:
慢性肺疾患を有する成人の下気道感染症
COPD 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,毒素の吸入(しばしばタバコ煙)に対する炎症反応によって引き起こされる気流制限である。比較的まれな原因として,非喫煙者におけるα1-アンチトリプシン欠乏症および様々な職業曝露がある。症状は数年かけて発現する湿性咳嗽および呼吸困難であり,一般的な徴候には呼吸音の減少,呼気相の延長,および喘鳴などがある。重症例で... さらに読む 増悪の起因菌としては,無莢膜型インフルエンザ菌(nontypeable Haemophilus influenzae)に次いで2番目に頻度が高い。
M. catarrhalis による 肺炎 肺炎の概要 肺炎は,感染によって引き起こされる肺の急性炎症である。初期診断は通常,胸部X線および臨床所見に基づいて行う。 原因,症状,治療,予防策,および予後は,その感染が細菌性,抗酸菌性,ウイルス性,真菌性,寄生虫性のいずれであるか,市中または院内のいずれで発生したか,機械的人工換気による治療を受けている患者に発生したかどうか,ならびに患者が免疫能... さらに読む は肺炎球菌性肺炎に類似する。
菌血症 菌血症 菌血症とは,血流中に細菌が存在する状態のことである。特定の組織感染を契機として,泌尿生殖器または静脈内にカテーテルを留置しているとき,あるいは歯科,消化管,泌尿生殖器,創傷などに対する処置を施行した後に,自然に発生する可能性がある。菌血症は心内膜炎などの転移性感染症を引き起こすことがある(特に心臓弁膜異常の患者で)。一過性の菌血症は無症状のことが多いが,発熱の原因となりうる。その他の症状の出現は通常,敗血症や敗血症性ショックなどのより重... さらに読む はまれであるが,半数の患者が併発疾患のために3カ月以内に死亡する。
M. catarrhalisの定着率は年齢に依存する。健康成人の約1~5%で上気道への定着が認められる。上咽頭へのM. catarrhalisの定着は,乳児期を通してよくみられ,冬期に増加することがあり,急性中耳炎の危険因子である;早期の定着は反復性中耳炎の危険因子である。定着率にはかなりの地域差がある。これらの地域差には,生活条件,衛生状態,環境因子(例,家庭内での喫煙),集団の遺伝学的特性,宿主因子,その他の因子が寄与している可能性がある。
この細菌は,気道内の定着部位から感染部位へと連続的に広がるようである。
M. catarrhalisによる中耳炎,急性もしくは慢性副鼻腔炎,または肺炎に特有の病理学的特徴は認められない。下気道疾患の患者では,咳嗽の増加,膿性痰の分泌,および呼吸困難の増悪がみられる。
このグラム陰性球菌はNeisseria属細菌に類似するが,感染した体液または組織での培養により菌を分離できれば,ルーチンの生化学検査で容易に鑑別可能である。
現在では全ての菌株がβ-ラクタマーゼを産生する。一般にβ-ラクタム系薬剤/β-ラクタマーゼ阻害薬,スルファメトキサゾール,テトラサイクリン系,広域スペクトル経口セファロスポリン系,アミノグリコシド系,マクロライド系,およびフルオロキノロン系に感性である。