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慢性皮膚粘膜カンジダ症

執筆者:

James Fernandez

, MD, PhD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University

レビュー/改訂 2019年 12月
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慢性皮膚粘膜カンジダ症は,遺伝性のT細胞異常に起因する持続性または反復性のカンジダ感染症である。劣性遺伝型では,自己免疫疾患および内分泌疾患が発生することがある。診断は,反復性,原因不明のカンジダ感染症に基づく。治療には抗真菌薬のほか,内分泌疾患および自己免疫疾患があればその治療が含まれる。

  • 常染色体優性:STAT1(signal transducer and activator of transcription 1)遺伝子の変異が関与する

  • 常染色体劣性:自己免疫調節遺伝子の変異(AIRE)が関与する

劣性遺伝型(自己免疫性多腺性内分泌不全症–カンジダ症–外胚葉ジストロフィー)では,典型的には自己免疫の症状が出現する;その中には,内分泌疾患(例, 副甲状腺機能低下症 副甲状腺機能低下症 低カルシウム血症とは,血漿タンパク質濃度が正常範囲内にある場合に血清総カルシウム濃度が8.8mg/dL(2.20mmol/L)未満であること,または血清イオン化カルシウム濃度が4.7mg/dL(1.17mmol/L)未満となった状態である。原因には,副甲状腺機能低下症,ビタミンD欠乏症,および腎疾患がある。症状としては,錯感覚,テタニーのほか,重度であれば痙攣,脳症,心不全などがある。診断には,血清アルブミン値で補正された血清カルシウム... さらに読む 副腎機能不全 アジソン病 アジソン病は潜行性で通常は進行性の副腎皮質の機能低下である。低血圧,色素沈着など種々の症状を引き起こし,心血管虚脱を伴う副腎クリーゼにつながる恐れがある。診断は臨床的に行われ,血漿副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)高値および血漿コルチゾール低値の所見によってなされる。治療は原因に応じて異なるが,一般にはヒドロコルチゾンや,ときに他のホルモンを用いる。 ( 副腎機能の概要も参照のこと。)... さらに読む アジソン病 性腺機能低下症 男性性腺機能低下症 性腺機能低下症は,関連する症候,精子産生の欠乏,またはそれらの両方を伴うテストステロンの欠乏と定義される。精巣の疾患に起因する場合(原発性性腺機能低下症)と,視床下部-下垂体系の疾患に起因する場合(続発性性腺機能低下症)がある。どちらも先天性の場合と,加齢,疾患,薬剤,その他の因子による後天性の場合がある。さらに,いくつかの先天的な酵素欠損症により標的器官で種々の程度のアンドロゲン抵抗性が惹起される。診断はホルモン濃度により確定される。... さらに読む 甲状腺疾患 甲状腺機能の概要 甲状腺は前頸部の輪状軟骨直下に位置し,峡部で連結された2つの葉から成る。甲状腺濾胞細胞は,主に以下の2種類の甲状腺ホルモンを産生する: テトラヨードサイロニン(サイロキシン,T4) トリヨードサイロニン(T3) これらのホルモンは,核内受容体に結合し幅広い遺伝子産物の発現を変化させることによって実質的に全身のあらゆる組織の細胞に作用する。... さらに読む 糖尿病 糖尿病(DM) 糖尿病はインスリン分泌障害および様々な程度の末梢インスリン抵抗性であり,高血糖をもたらす。初期症状は高血糖に関連し,多飲,過食,多尿,および霧視などがある。晩期合併症には,血管疾患,末梢神経障害,腎症,および易感染性などがある。診断は血漿血糖測定による。治療は食事療法,運動,および血糖値を低下させる薬剤により,薬剤にはインスリン,経口血糖... さらに読む ), 円形脱毛症 円形脱毛症 円形脱毛症は,明らかな皮膚疾患や全身性疾患のない患者に典型的には突如として瘢痕形成を伴わない脱毛斑が生じる病態である。 ( 脱毛症も参照のこと。) この写真には,円形脱毛症における頭部脱毛斑が写っている。 頭皮と須毛部に好発するが,有毛部ならどこにでも生じうる。脱毛が体の大部分または全身に及ぶことがある(汎発性脱毛症)。円形脱毛症は,遺伝的素因をもつ個人が環境誘因に曝露することで生じる自己免疫疾患と考えられているが,環境誘因については十... さらに読む 円形脱毛症 悪性貧血 貧血の評価 貧血では,赤血球の数が減少する(赤血球数,ヘマトクリット,または赤血球ヘモグロビン量で測定する)。男性では,貧血はヘモグロビン < 14g/dL(140g/L),ヘマトクリット < 42%(< 450万/μL(12/L)と定義されている。女性では,ヘモグロビン < 12g/dL(120g/L),ヘマトクリット < 37%(<... さらに読む 貧血の評価 ,および 肝炎 肝炎の原因 肝炎とは,びまん性または斑状の壊死を特徴とする肝臓の炎症である。 肝炎には急性の場合と慢性(通常は6カ月以上続く場合と定義される)の場合がある。 急性ウイルス性肝炎は,ほとんどの症例で自然に消失するが, 慢性肝炎に進行する場合もある。 肝炎の一般的な原因としては以下のものがある:... さらに読む などがある。真菌に対する自然免疫反応に関わる様々なタンパク質をコードする遺伝子にも変異が起こることがある―有名なのは,以下の遺伝子である:

  • PTPN22(protein tyrosine phosphatase, non-receptor type 22[あるいはLYPーlymphoid tyrosine phosphataseーと呼ばれることもある],T細胞受容体シグナルに関与する)

  • Dectin-1(自然免疫系のパターン認識受容体で,真菌感染症の制御に必須)

  • CARD9(caspase recruitment domain-containing protein 9,インターロイキン17[IL-17])の産生および真菌の侵入に対する防御に重要なアダプター分子)

Candida属真菌に対する皮膚アネルギーがみられ,Candida抗原に対する増殖反応が欠損しており(ただし,マイトジェンに対しては正常な増殖反応を示す),Candidaおよびその他の抗原に対する抗体反応は損なわれていない。 皮膚粘膜カンジダ症 カンジダ症(粘膜皮膚) カンジダ症は,Candida属真菌による皮膚および粘膜感染症であり,その大半がCandida albicansによるものである。感染はあらゆる部位に生じうるが,好発部位は間擦部,指趾間,性器部,爪上皮,および口腔粘膜である。症状と徴候は部位により異なる。診断は臨床的な外観や皮膚擦過物のKOH直接鏡検による。治療... さらに読む カンジダ症(粘膜皮膚) は,通常乳児期に始まるが,ときに成人の早期に現れることもあり,反復または持続する。寿命には影響がない。一部の患者では,免疫グロブリンの値が正常であるにもかかわらず多糖体抗原に対する異常な抗体応答がみられることを特徴とする液性免疫不全(ときに抗体欠損と呼ばれる)もみられる。

症状と徴候

頭皮,皮膚,爪,消化管粘膜,および腟粘膜の感染症として,鵞口瘡がよくみられる。重症度は様々である。爪は,ばち指に似た爪周囲組織周辺の浮腫および紅斑を伴って肥厚し,割れ,変色することがある。皮膚病変は,痂皮化,膿疱性,紅斑性,角質増殖性である。頭皮の病変は瘢痕性脱毛症の原因になることがある。

乳児には,難治性の鵞口瘡,カンジダ性おむつ皮膚炎,または両方がみられることが多い。

カンジダ感染症

診断

  • 臨床的評価

カンジダ性病変は標準検査(例,擦過検体に対して水酸化カリウムを用いたウェットマウント法[KOH直接鏡検])によって確定する。

慢性皮膚粘膜カンジダ症の診断は,カンジダによる反復性の皮膚病変または粘膜病変があり,カンジダ感染症の原因(例,糖尿病,抗菌薬の使用)が他にないことに基づく。

臨床的な疑いに基づいて内分泌疾患のスクリーニングを行う。

AIREの変異が検出された場合は,患者の同胞および子にスクリーニングを提案できる。

治療

  • 抗真菌薬

  • 内分泌症状および自己免疫症状の治療

通常,慢性皮膚粘膜カンジダ症の感染は外用抗真菌薬でコントロールでき,外用抗真菌薬に対する反応が乏しい場合,全身性の抗真菌薬(例,アムホテリシンB,フルコナゾール,ケトコナゾール)による長期治療が必要になる可能性がある。抗体欠損症の患者では,免疫グロブリンを考慮すべきである。

自己免疫症状(内分泌症状を含む)は積極的に治療する。

要点

  • 慢性皮膚粘膜カンジダ症の遺伝形式は常染色体優性または常染色体劣性である。

  • 常染色体劣性型の患者は,自己免疫症状(内分泌症状を含む)を呈することがある。

  • 本疾患は,皮膚粘膜カンジダ症を確定し,他の原因を除外することによって診断する。

  • カンジダ症を抗真菌薬(必要であれば全身投与する)で治療するとともに,自己免疫症状を治療する。

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