老人性紫斑病

執筆者:David J. Kuter, MD, DPhil, Harvard Medical School
レビュー/改訂 2020年 5月
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    老人性紫斑病は,斑状出血を引き起こす疾患であり,慢性的な日光曝露,加齢,および薬剤により生じる結合組織の損傷が真皮に達して,血管の脆弱性を亢進させることで発生する。

    血管性の出血性疾患の概要も参照のこと。)

    紫斑とは,出血によって紫調に変色した皮膚または粘膜病変のことである。小さな病変(2mm未満)は点状出血と呼ばれ,大きな病変は斑状出血または皮下出血と呼ばれる。

    老人性紫斑病は典型的には,真皮組織が萎縮して血管が脆弱化した高齢患者に発生する。手および前腕の伸側に限局される特徴を有する濃紫色で斑状出血が持続して現れる。負傷の覚えがない新たな病変がみられ,数日で消失するが,ヘモジデリンの沈着により生じた茶色がかった変色が残る。この変色は,消失に数週間から数カ月間を要する場合も,永久に残る場合もある。患部の皮膚および皮下組織では,しばしば菲薄化および萎縮がみられる。

    薬剤(例,コルチコステロイド,ワルファリン,アスピリン,クロピドグレル)によって斑状出血が増悪することがある。

    病変の消失を早める治療法はなく,その必要もない。審美上は好ましくないが,この疾患は健康的に深刻なものではなく,他の部位での重度の出血を予告するものでもない。

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