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プロテインSは,第Vaおよび第VIIIa因子の分解において活性化プロテインCに結合しその働きを補助するため,プロテインS欠乏症は静脈血栓症の素因となる。
(血栓性疾患の概要も参照のこと。)
ビタミンK依存性タンパク質であるプロテインSは,活性化プロテインCが介在する第Va因子および第VIIIa因子の分解の補因子である。そのため,プロテインSおよびプロテインCは天然の血漿抗凝固系の構成要素となっている。
ヘテロ接合体の血漿プロテインS欠乏症は静脈血栓症の素因となる。ヘテロ接合体の血漿プロテインS欠乏症は,遺伝的伝達,有病率,臨床検査,治療,および予防措置について,ヘテロ接合体のプロテインC欠乏症と同様である。
ホモ接合体のプロテインS欠乏症は,ホモ接合体のプロテインC欠乏症によるものと臨床的に鑑別できない新生児電撃性紫斑病を引き起こすことがある。
後天的なプロテインC欠乏症(および,すぐ後にプロテインS欠乏症)は,播種性血管内凝固症候群(DIC)およびワルファリン療法で生じる。
診断は,血漿プロテインSの総抗原量または遊離型抗原量測定に基づく(遊離型プロテインSはプロテインSの担体分子であるC4結合タンパク質に結合していないものである)。
プロテインS欠乏症の治療
抗凝固療法
静脈血栓症を伴うプロテインS欠乏症の治療は,プロテインC欠乏症の治療とほぼ同じであるが,例外が1つある。輸血に使用可能な精製プロテインS濃縮製剤がないため,血栓による緊急時にプロテインSの補充には正常血漿が用いられる。
トロンビン(ダビガトラン)または第Xa因子(例,リバーロキサバン,アピキサバン)を阻害する直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)が本疾患に対してワルファリンの代わりにおそらく使用可能であるが,依然として確実ではない。
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