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ホジキンリンパ腫

(ホジキン病)

執筆者:

Peter Martin

, MD, Weill Cornell Medicine;


John P. Leonard

, MD, Weill Cornell Medicine

レビュー/改訂 2020年 6月
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ホジキンリンパ腫は,リンパ細網系細胞の限局性または播種性の悪性増殖であり,主にリンパ節組織,脾臓,肝臓,および骨髄に浸潤する。典型的な症状としては,無痛性のリンパ節腫脹のほか,ときに発熱,盗汗,意図しない体重減少,そう痒,脾腫,肝腫大などがある。診断はリンパ節生検に基づく。治療により大半の症例で治癒が得られるが,化学療法を基本として,抗体薬物複合体や免疫療法,放射線療法など,他の治療法を併用する場合もある。

米国では,毎年新たに約8000例がホジキンリンパ腫と診断されている。男女比は1.4:1である。10歳未満でのホジキンリンパ腫はまれで,15~40歳で最も多くみられ,60歳以上で2つ目のピークがみられる。

ホジキンリンパ腫の病態生理

ホジキンリンパ腫は,B細胞由来の細胞におけるクローン性転化から発生し,特徴的な二核性のリード-ステルンベルグ細胞がみられる。

原因は不明であるが,遺伝的感受性(例,家族歴)および環境的関連性(例,木工業などの職業;フェニトイン,放射線療法,または化学療法による治療歴; エプスタイン-バーウイルス[EBV] 伝染性単核球症 伝染性単核球症は,エプスタイン-バーウイルス(EBV,ヒトヘルペスウイルス4型)により引き起こされ,疲労,発熱,咽頭炎,およびリンパ節腫脹を特徴とする。疲労は数週間から数カ月間続くことがある。気道閉塞,脾破裂,および神経症候群などの重症合併症がときに起こる。診断は臨床的に,またはEBVの血清学的検査により行う。治療は支持療法による。 EBVは5歳未満の50%の小児が感染するヘルペスウイルスである。成人は90%以上がEBVに対して血清反応... さらに読む 伝染性単核球症 結核菌[Mycobacterium tuberculosis] 結核 結核は,しばしば初感染から一定期間の潜伏期を経て発症する慢性進行性の抗酸菌感染症である。結核は肺を侵すことが最も多い。症状としては,湿性咳嗽,発熱,体重減少,倦怠感などがある。診断は喀痰の塗抹および培養によることが最も多いが,分子生物学に基づく迅速診断検査の利用も増えてきている。治療では複数の抗菌薬を少なくとも6カ月間投与する。... さらに読む 結核 ヘルペスウイルス6型 ヘルペスウイルス感染症の概要 ヒトに感染するヘルペスウイルスとしては,8つの型が存在する( Professional.see table ヒトに感染するヘルペスウイルス)。初回感染後,全てのヘルペスウイルスは特定の宿主細胞内に潜伏し続け,その後再活性化することがある。初感染による臨床症候群は,それらのウイルスの再活性化によって引き起こされるものとは大きく異なることがあ... さらに読む HIV ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症は,2つの類似したレトロウイルス(HIV-1およびHIV-2)のいずれかにより生じ,これらのウイルスはCD4陽性リンパ球を破壊し,細胞性免疫を障害することで,特定の感染症および悪性腫瘍のリスクを高める。初回感染時には,非特異的な熱性疾患を引き起こすことがある。その後に症候(免疫不全に関連するもの)が現れ... さらに読む ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 による感染症)が関与している。以下の患者ではリスクがわずかに高い:

ほとんどの患者では緩徐に進行する細胞性免疫(T細胞機能)の障害もみられ,進行期には,一般的には細菌感染症に,まれに真菌,ウイルス,原虫感染症の発生につながる。進行期には液性免疫(抗体産生)が抑制される。感染症または進行性疾患により死亡する可能性がある。

ホジキンリンパ腫の症状と徴候

ほとんどのホジキンリンパ腫患者で無痛性の頸部または腋窩リンパ節腫脹がみられる。機序は不明であるが,アルコール飲料を摂取した直後に病変部位に疼痛がまれに生じ,早期に診断が示唆されることがある。

他の症状は,一般に細網内系を通して隣接部位に拡がったときに現れる。通常の治療では,難治性の激しいそう痒が早期に生じることもある。全身症状としては,発熱,盗汗,食欲不振とその結果としての意図しない体重減少(過去6カ月で10%を超える体重減少)などがあり,これらの症状によって,深部のリンパ節(縦隔または後腹膜),内臓(肝臓),または骨髄への浸潤が示唆される場合がある。脾腫がしばしばみられるが,肝腫大はまれである。ペル-エブスタイン熱(数日間の高熱が数日から数週間の平熱または平熱以下の期間を挟んで規則的に繰り返す)が散見される。疾患の進行時に悪液質が多くみられる。

骨浸潤はしばしば無症状であるが,椎骨の造骨性病変(象牙椎)のほか,まれに溶骨性病変による疼痛や,圧迫骨折がみられることがある。頭蓋内,胃,および皮膚の病変はまれであり,これが認められる場合は,コントロール不良のHIVに関連したホジキンリンパ腫を示唆している可能性がある。

腫瘍の腫瘤による局所圧迫により症状が現れることが多く,以下の症状がみられる:

脊髄を圧迫する硬膜外浸潤により,対麻痺が現れることがある。腫大したリンパ節が頸部交感神経および反回神経を圧迫すると,ホルネル症候群および喉頭麻痺を来すことがある。神経根の圧迫によって神経痛が生じる。

ホジキンリンパ腫の診断

  • リンパ節生検

  • 病期診断のための胸部,腹部,および骨盤部のFDG-PET/CT

  • 神経症状がみられる場合のMRI

  • ときに骨髄生検

ホジキンリンパ腫は通常,身体診察またはルーチンの胸部X線で疼痛を伴わないリンパ節腫脹または縦隔リンパ節腫脹が検出された患者で疑われる(1 診断に関する参考文献 ホジキンリンパ腫は,リンパ細網系細胞の限局性または播種性の悪性増殖であり,主にリンパ節組織,脾臓,肝臓,および骨髄に浸潤する。典型的な症状としては,無痛性のリンパ節腫脹のほか,ときに発熱,盗汗,意図しない体重減少,そう痒,脾腫,肝腫大などがある。診断はリンパ節生検に基づく。治療により大半の症例で治癒が得られるが,化学療法を基本として,抗体薬物複合体や免疫療法,放射線療法など,他の治療法を併用する場合もある。... さらに読む 診断に関する参考文献 )。 伝染性単核球症 伝染性単核球症 伝染性単核球症は,エプスタイン-バーウイルス(EBV,ヒトヘルペスウイルス4型)により引き起こされ,疲労,発熱,咽頭炎,およびリンパ節腫脹を特徴とする。疲労は数週間から数カ月間続くことがある。気道閉塞,脾破裂,および神経症候群などの重症合併症がときに起こる。診断は臨床的に,またはEBVの血清学的検査により行う。治療は支持療法による。 EBVは5歳未満の50%の小児が感染するヘルペスウイルスである。成人は90%以上がEBVに対して血清反応... さらに読む 伝染性単核球症 (EBV)や サイトメガロウイルス(CMV)感染症 サイトメガロウイルス(CMV)感染症 サイトメガロウイルス(CMV,ヒトヘルペスウイルス5型)は,重症度に大きな幅のある感染症を引き起こす。伝染性単核球症に類似するが重度の咽頭炎を欠いた症候群がよくみられる。HIV感染患者,臓器移植レシピエント,およびその他の易感染性患者において,網膜炎など重度の局所疾患が生じうる。新生児および易感染性患者では,重度の全身性疾患が発生することがある。臨床検査による診断は重症例において役に立ち,培養,血清学的検査,生検,抗原または核酸の検出な... さらに読む などのウイルス感染症, トキソプラズマ症 トキソプラズマ症 トキソプラズマ症は,Toxoplasma gondiiによる感染症である。症状はないこともあれば,良性リンパ節腫脹(単核球症様疾患)から,易感染者における生命を脅かす中枢神経系疾患やその他の臓器の障害まで,様々である。AIDS患者およびCD4陽性細胞数が少ない患者では,脳炎が発生する可能性がある。先天性感染症では網脈絡膜炎,痙攣発作,および知的障害が起こる。診断は血清学的検査,病理組織学的検査,またはポリメラーゼ連鎖反応(... さらに読む トキソプラズマ症 非ホジキンリンパ腫 非ホジキンリンパ腫 非ホジキンリンパ腫は,リンパ節,骨髄,脾臓,肝臓,および消化管を含むリンパ細網部位においてリンパ系細胞の単クローン性悪性増殖が生じる不均一な疾患群である。通常は,初発症状として末梢のリンパ節腫脹がみられる。ただし,リンパ節腫脹は認められないが,循環血中に異常なリンパ球が認められる患者もいる。ホジキンリンパ腫と比べ,診断時に播種性である可能性が高い。通常は,リンパ節生検,骨髄生検,またはその両方に基づいて診断を下す。管理の戦略としては,経... さらに読む 非ホジキンリンパ腫 ,または 白血病 白血病の概要 白血病は,未成熟または異常な白血球の過剰産生が起きることで,最終的に正常な血球の産生が抑制され,血球減少に関連する症状が現れる悪性疾患である。 白血化は,自己複製能が少し制限された造血前駆細胞レベルで生じることもあるが,通常は多能性幹細胞の段階で発生する。異常な増殖,クローン性増殖,異常な分化,およびアポトーシス(プログラム細胞死)の低下... さらに読む によっても,同様のリンパ節腫脹がみられることがある。同様の胸部X線所見が 肺癌 肺癌 肺癌は世界におけるがん関連死因の第1位である。約85%の症例で喫煙の関連がみられる。症状としては,咳嗽,胸部不快感,胸痛,体重減少などのほか,頻度は低いものの喀血もありうるが,臨床症状の有無にかかわらず,多くの患者が遠隔転移のある状態で受診する。診断は典型的には胸部X線またはCTにより,生検によって確定する。治療法としては,病期に応じて手術,化学療法,放射線療法,これらの組合せなどがある。過去数十年にわたり,肺癌患者の予後は不良で,診断... さらに読む 肺癌 サルコイドーシス サルコイドーシス サルコイドーシスは単一または複数の臓器および組織に生じる非乾酪性肉芽腫を特徴とする炎症性疾患であり,病因は不明である。肺およびリンパ系が侵される頻度が最も高いが,サルコイドーシスはどの臓器にも生じうる。肺症状は,無症状から咳嗽,労作時呼吸困難,および,まれであるが肺または他臓器の機能不全に至るまで様々である。通常はまず肺病変を理由に本疾患... さらに読む サルコイドーシス ,または 結核 結核 結核は,しばしば初感染から一定期間の潜伏期を経て発症する慢性進行性の抗酸菌感染症である。結核は肺を侵すことが最も多い。症状としては,湿性咳嗽,発熱,体重減少,倦怠感などがある。診断は喀痰の塗抹および培養によることが最も多いが,分子生物学に基づく迅速診断検査の利用も増えてきている。治療では複数の抗菌薬を少なくとも6カ月間投与する。... さらに読む 結核 によって生じることもある。 縦隔腫瘤 診断 縦隔腫瘤は様々な嚢胞および腫瘍に起因する;可能性が高い原因は,患者の年齢,および腫瘤の位置(前縦隔,中縦隔,または後縦隔)によって異なる。縦隔腫瘤は無症状のこともあれば(成人では一般的),閉塞性の呼吸器症状を引き起こすこともある(小児により多い)。検査にはCTおよび生検ならびに必要に応じた補助検査がある。治療は原因によって異なる。... さらに読む の評価については,本マニュアルの別の箇所で考察されている。

胸部X線検査または身体診察で異常を認めた場合は,最も効果的な生検手技を選択するために胸部のCTまたはPET(陽電子放出断層撮影)で確認すべきである。縦隔リンパ節腫脹のみが認められる場合は,縦隔鏡検査,胸腔鏡検査(VATS),またはチェンバレン手技(頸部縦隔鏡検査による接近が難しい縦隔リンパ節の生検を可能にする左前に限定した縦隔切開術)が適応となることがある。CTガイド下のコア針生検も考慮してよいが,穿刺吸引細胞診はホジキンリンパ腫の診断に不十分である場合が多い。

生検では,組織球,リンパ球,単球,形質細胞,および好酸球から成る特徴的に不均一な細胞浸潤物の中にリード-ステルンベルグ細胞(大型の二核細胞)が認められる。古典的ホジキンリンパ腫には4つの組織型があるほか(ホジキンリンパ腫の病理組織学的亜型 ホジキンリンパ腫の病理組織学的亜型(WHO分類) ホジキンリンパ腫の病理組織学的亜型(WHO分類) の表を参照),ホジキンリンパ腫の全症例の約5%のみを占める結節性リンパ球優位型もある。ホジキンリンパ腫と 非ホジキンリンパ腫 非ホジキンリンパ腫 非ホジキンリンパ腫は,リンパ節,骨髄,脾臓,肝臓,および消化管を含むリンパ細網部位においてリンパ系細胞の単クローン性悪性増殖が生じる不均一な疾患群である。通常は,初発症状として末梢のリンパ節腫脹がみられる。ただし,リンパ節腫脹は認められないが,循環血中に異常なリンパ球が認められる患者もいる。ホジキンリンパ腫と比べ,診断時に播種性である可能性が高い。通常は,リンパ節生検,骨髄生検,またはその両方に基づいて診断を下す。管理の戦略としては,経... さらに読む 非ホジキンリンパ腫 の鑑別および古典的ホジキンリンパ腫と結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫の鑑別には,リード-ステルンベルグ細胞上の特定の抗原が役立つ場合がある。

一般に,白血球分画を含む血算,赤血球沈降速度(赤沈),乳酸脱水素酵素(LDH),腎機能検査,および肝機能検査が施行される。検査で異常を認めることがあるが,診断の決め手にはならない。

血算では,軽微な多形核白血球増多がみられることがある。リンパ球減少が早期に生じることがあり,これは予後不良因子である。約20%の患者に好酸球増多がみられ,血小板増多が認められることもある。貧血は,小球性貧血が多く,通常は疾患進行により現れる。進行期の貧血でみられる鉄再利用障害は,血清鉄の低値,鉄結合能の低下,血清フェリチン高値,および骨髄鉄の増加を特徴とする。ときに骨髄浸潤による汎血球減少症がみられ,リンパ球減少型で生じることが多い。

血清アルカリホスファターゼ値の上昇が認められることがあるが,この上昇が必ずしも骨髄または肝臓への浸潤を示すとは限らない。白血球アルカリホスファターゼ,血清ハプトグロビン,およびその他の急性期反応物質の増加は,通常,活動性のホジキンリンパ腫から放出される炎症性サイトカインの存在を反映している。これらの検査は,ときに非特異的症状を評価するために行われ,ホジキンリンパ腫を示唆することがあるが,全てのリンパ腫患者で行われるわけではない。炎症の間接的なマーカーである赤血球沈降速度(赤沈)がよくオーダーされ,これは予後不良を予測する。

胸部,腹部,および骨盤部のFDG(フルオロデオキシグルコース)-PET/CT検査は,ホジキンリンパ腫の病期診断で選択すべき画像検査である(以下参照)。FDG-PET検査を用いれば,骨病変がより高い頻度で検出される。FDG-PET/CT検査を行えない場合は,胸部,腹部,および骨盤部の造影CTを施行する。

その他の検査は所見に応じて施行する(例,脊髄圧迫の症状がある場合のMRI)。PET/CT画像が得られず,得られる所見によって治療方針が変わる可能性がある場合のみ,通常は骨髄生検を施行する。その他の推奨される検査としては,アントラサイクリン系薬剤の使用が予想される場合の心駆出率の測定や,ブレオマイシンを考慮する場合の肺機能検査などがある。

病期分類

診断後は,病期を判定して治療の指針とする。一般的に用いられているLugano分類(ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫のLugano分類 ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫のAnn Arbor病期分類のCotswold改変版 ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫のAnn Arbor病期分類のCotswold改変版 の表を参照)には以下の因子が採用されている:

病期分類に開腹は不要である。

診断に関する参考文献

  • 1.Cheson BD, Fisher RI, Barrington SF, et al: Recommendations for initial evaluation, staging, and response assessment of Hodgkin and non-Hodgkin lymphoma: The Lugano classification.J Clin Oncol 32(27):3059-3068, 2014.

ホジキンリンパ腫の予後

古典的ホジキンリンパ腫の治癒率は,限局期では約85~90%であるのに対し,進行期では75~80%である。限局期は,しばしば予後良好群と予後不良群に細分される。予後不良は危険因子に基づくものであり,例えば,bulky病変あり,リンパ節病変4カ所以上,年齢50歳以上,赤血球沈降速度(赤沈)> 50mm/hかつB症状なしまたは赤沈 > 30mm/hかつB症状(体重減少,発熱,または盗汗)ありなどがある。進行期ホジキンリンパ腫の危険因子としては,男性,年齢45歳以上,腫瘍性炎症の徴候(アルブミン低値,貧血,白血球増多,リンパ球減少)などがある。しかしながら,どの危険因子の検討を推奨すべきかは今後の課題となっている。治療を受けて完全寛解に達しなかった患者と12カ月以内に再発した患者は,予後不良である。

ホジキンリンパ腫の治療

  • 化学療法

  • 抗体薬物複合体(例,ブレンツキシマブ ベドチン)

  • 免疫療法(例,免疫チェックポイント阻害薬)

  • 放射線療法

  • ときに自家造血幹細胞移植

治療法の選択は複雑であり,疾患の正確な病期で決まる。治療前に適切であれば,男性には精子バンクの利用を勧め,女性は妊孕性温存の選択肢について腫瘍医および不妊治療専門医と相談すべきである。

初期治療

進行期では,2つの大規模ランダム化試験のいずれかの知見に基づいた治療が可能である。RATHL(Response-Adapted Therapy in Advanced Hodgkin Lymphoma)試験では,ABVDによる治療が行われ,2サイクル後にPETで陰性と判定された患者にはさらに4サイクルのAVD(ブレオマイシンなし)が投与された一方,PETで陽性と判定された患者はBEACOPP(ブレオマイシン,エトポシド,ドキソルビシン,シクロホスファミド,ビンクリスチン,プロカルバジン,およびプレドニゾン— 1 治療に関する参考文献 ホジキンリンパ腫は,リンパ細網系細胞の限局性または播種性の悪性増殖であり,主にリンパ節組織,脾臓,肝臓,および骨髄に浸潤する。典型的な症状としては,無痛性のリンパ節腫脹のほか,ときに発熱,盗汗,意図しない体重減少,そう痒,脾腫,肝腫大などがある。診断はリンパ節生検に基づく。治療により大半の症例で治癒が得られるが,化学療法を基本として,抗体薬物複合体や免疫療法,放射線療法など,他の治療法を併用する場合もある。... さらに読む 治療に関する参考文献 )に移行した。ECHELON-1試験では,AVD + 抗CD30抗体薬物複合体(ブレンツキシマブ ベドチン)による治療を受けた患者の方が,ABVDによる治療を受けた患者よりも成績が良好となり,高リスクの若年患者ほど高い便益がみられた(2 治療に関する参考文献 ホジキンリンパ腫は,リンパ細網系細胞の限局性または播種性の悪性増殖であり,主にリンパ節組織,脾臓,肝臓,および骨髄に浸潤する。典型的な症状としては,無痛性のリンパ節腫脹のほか,ときに発熱,盗汗,意図しない体重減少,そう痒,脾腫,肝腫大などがある。診断はリンパ節生検に基づく。治療により大半の症例で治癒が得られるが,化学療法を基本として,抗体薬物複合体や免疫療法,放射線療法など,他の治療法を併用する場合もある。... さらに読む 治療に関する参考文献 )。

二次以降の治療

2種類以上の治療歴を有するホジキンリンパ腫患者の治療には,ブレンツキシマブ ベドチンと免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブおよびペムブロリズマブが使用されている。

治療の合併症

化学療法は,特にアルキル化薬(メクロレタミン,シクロホスファミド,プロカルバジン),ドキソルビシン,エトポシドなどの薬剤を使用した場合,治療後3~10年で発生する白血病のリスクを高める。放射線療法は悪性固形腫瘍(例,乳房,消化管,肺,甲状腺,軟部組織)のリスクを高める。ドキソルビシンと縦隔照射は, 心筋症 心筋症の概要 心筋症は心筋の原発性疾患である。冠動脈疾患や弁膜症,先天性心疾患といった構造的心疾患とは明確に異なる疾患概念である。心筋症は病理学的特徴に基づき,以下に示す3つの主な病型に分類される( 心筋症の病型の図を参照): 拡張型 肥大型 拘束型 虚血性心筋症という用語は,重症 冠動脈疾患の患者で(梗塞領域の有無にかかわらず)発生することがある,心... さらに読む 冠動脈硬化症 アテローム性動脈硬化 アテローム性動脈硬化は,中型および大型動脈の内腔に向かって成長する斑状の内膜プラーク(アテローム)を特徴とし,そのプラーク内には脂質,炎症細胞,平滑筋細胞,および結合組織が認められる。危険因子には,脂質異常症,糖尿病,喫煙,家族歴,座位時間の長い生活習慣,肥満,高血圧などがある。症状はプラークの成長または破綻により血流が減少ないし途絶した... さらに読む アテローム性動脈硬化 ,および 心臓弁膜症 心臓弁膜症の概要 いずれの心臓弁も狭窄または閉鎖不全(逆流とも表現される)を起こす可能性があり,その場合,症状出現のかなり前から血行動態に変化が生じる。弁の狭窄または閉鎖不全は,個々の弁で独立して起こる場合が最も多いが,複数の弁膜症が併存する場合もあれば,1つの弁に狭窄と閉鎖不全が併発する場合もある。... さらに読む のリスクを高める。ブレオマイシンは,重症化してまれに死に至ることもある肺損傷を引き起こす可能性がある。

治療後のサーベイランス

寛解導入療法の終了時点でPET陰性とならない患者には全例で生検を行うか継続的な画像検査により注意深くフォローアップすべきであり,残存病変が認められる場合は,追加の治療が必要である。寛解になれば,5年間にわたり再発の症候について患者を追跡すべきである。再発所見がみられた患者には,PET/CTまたはCT単独で画像検査を施行すべきである。無症状の患者におけるルーチンの計画的な画像検査は,もはや必須とみなされていない。治療後のサーベイランスのスケジュールについては, ホジキンリンパ腫の治療後のサーベイランス ホジキンリンパ腫の治療後のサーベイランス ホジキンリンパ腫の治療後のサーベイランス の表を参照のこと。

治療に関する参考文献

ホジキンリンパ腫の要点

  • ホジキンリンパ腫は,B細胞由来である。

  • 通常は,胸部X線または身体診察で検出された無痛性のリンパ節腫脹か,偶発的な頸部または縦隔のリンパ節腫脹で診断に至る。

  • 生検で本疾患に特有な二核のリード-ステルンベルグ細胞がみられる。

  • 多剤併用化学療法とときに追加の全身療法または放射線療法により,大半の患者が治癒する。

  • ブレンツキシマブ ベドチンと免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブおよびペムブロリズマブは,ホジキンリンパ腫に対する治療の展望に急速な変化をもたらしている新規の治療法である。

ホジキンリンパ腫についてのより詳細な情報

医師向けの情報と患者向けの支援および情報を提供する英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

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