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高マグネシウム血症

執筆者:

James L. Lewis III

, MD, Brookwood Baptist Health and Saint Vincent’s Ascension Health, Birmingham

レビュー/改訂 2020年 4月
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高マグネシウム血症とは,血清マグネシウム濃度が2.6mg/dL(1.05mmol/L)を上回ったことである。主な原因は腎不全である。症状としては,低血圧,呼吸抑制,心停止などがある。診断は血清マグネシウム濃度の測定による。治療にはグルコン酸カルシウムの静注があり,フロセミドを投与してもよい;重症例では血液透析が役立つ場合がある。

症候性の高マグネシウム血症はかなり珍しい。腎不全患者が制酸薬または下剤などのマグネシウム含有薬物を服用して起こることが最も多い。高マグネシウム血症は, 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの欠乏である。診断は典型的な顔貌,嗄声および言語緩徐,乾燥皮膚などの臨床的特徴,ならびに甲状腺ホルモン低値による。サイロキシン投与などにより管理を行う。 ( 甲状腺機能の概要も参照のこと。) 甲状腺機能低下症は年齢を問わず生じるが,特に高齢者でよくみられ,その場合症状が軽微で認識しにくい可能性がある。甲状腺機能低下症は以下に分類される: 原発性:甲状腺の疾患に起因する... さらに読む 甲状腺機能低下症 または アジソン病 アジソン病 アジソン病は潜行性で通常は進行性の副腎皮質の機能低下である。低血圧,色素沈着など種々の症状を引き起こし,心血管虚脱を伴う副腎クリーゼにつながる恐れがある。診断は臨床的に行われ,血漿副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)高値および血漿コルチゾール低値の所見によってなされる。治療は原因に応じて異なるが,一般にはヒドロコルチゾンや,ときに他のホルモンを用いる。 ( 副腎機能の概要も参照のこと。)... さらに読む アジソン病 の患者にも起こりうる。

腎機能が正常な患者においては,無症状の高マグネシウム血症でさえもまれである。

症状および徴候には,反射低下,低血圧,呼吸抑制,心停止がある。

高マグネシウム血症の診断

  • 血清マグネシウム濃度が2.6mg/dL(1.05mmol/L)を上回る

血清マグネシウム濃度が6~12mg/dL(2.5~5mmol/L)のときは,心電図にPR間隔の延長,QRS幅の増大,およびT波の増高がみられる。

血清マグネシウム濃度が12mg/dL(5.0mmol/L)に近づくと深部腱反射が消失し,高マグネシウム血症が増悪すると低血圧,呼吸抑制,ナルコーシスが生じる。血中マグネシウム濃度が15mg/dL(6.0~7.5mmol/L)を上回ると心停止が生じることがある。

高マグネシウム血症の治療

  • グルコン酸カルシウム

  • 利尿または透析

重度のマグネシウム中毒の治療では,循環および呼吸の補助ならびに10%グルコン酸カルシウム10~20mLの静注を行う。グルコン酸カルシウムによって,呼吸抑制などマグネシウム誘発性の変化の多くが回復しうる。

腎機能が十分であれば,フロセミドの静注によってマグネシウム排泄を増加できる;体液量は維持すべきである。

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