肥満外科手術

執筆者:Adrienne Youdim, MD, David Geffen School of Medicine at UCLA
レビュー/改訂 2020年 1月
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肥満外科手術は,減量を目的として胃,腸管,またはその両方に外科的に改変を加える治療である。

米国では,毎年約160,000例の肥満外科手術が行われる。より安全な腹腔鏡的アプローチが開発されたことで,この手術はより広く普及した。

肥満も参照のこと。)

肥満外科手術の適応

肥満外科手術の適応と判断するには,患者が以下を満たしている必要がある:

  • BMI(body mass index)が40kg/m2を超えているか,またはBMIが35kg/m2を超えていることに加えて重篤な合併症(例,糖尿病高血圧閉塞性睡眠時無呼吸症候群高リスクの脂質プロファイル)がある

  • 手術のリスクが許容できるものである

  • 十分に情報を提供されており,意欲がある

  • 減量および肥満に関連する合併症の管理のために手術以外の妥当な方法を全て試みたが,いずれも不成功に終わった

また,BMIが30~34.9の2型糖尿病患者で,至適な生活習慣と薬物療法にもかかわらず血糖コントロールが十分に得られない場合にも,肥満外科手術を考慮すべきである(1)。

禁忌としては以下のものがある:

  • うつ病などのコントロール不良の精神障害

  • 現在薬物またはアルコールの乱用がある

  • 寛解状態にないがん

  • 生命を脅かす他の疾患

  • 生涯にわたるビタミン補充(適応となる場合)を含む栄養所要量を遵守できない

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適応に関する参考文献

  1. 1.Mechanick JI, Apovian C, Brethauer S, et al: Clinical practice guidelines for the perioperative nutrition, metabolic, and nonsurgical support of patients undergoing bariatric procedures – 2019 update: cosponsored by American Association of Clinical Endocrinologists/American College of Endocrinology, The Obesity Society, American Society for Metabolic & Bariatric Surgery, Obesity Medicine Association, and American Society of Anesthesiologists..Article in Press, 2019.doi:10.4158/GL-2019-0406.

肥満外科手術の手技

米国で行われる最も一般的な手技には以下のものがある:

ほとんどの手術は腹腔鏡下で施行され,開腹下より疼痛が少なく,回復期間が短い。肥満外科手術は従来から,推定される体重減少の機序に照らして,摂食量を制限するもの(restrictive)と吸収を抑制するもの(malabsorptive)に分類されている。しかし,その他の因子も体重減少に寄与すると考えられ,例えば,RYGB(従来から吸収を抑制するものに分類)とスリーブ状胃切除術(従来から摂食量を制限するものに分類)はともに,満腹感および体重減少に有利に働く代謝またはホルモンの変化と,糖尿病の急速な寛解に寄与するとみられる他のホルモンの変化(例,インスリン放出の増加[インクレチン効果])をもたらす。

RYGB(特にこちら)またはスリーブ状胃切除術の施行後には,グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)やペプチドYY(PYY)などの消化管ホルモンの血中濃度が上昇するが,これは満腹感,体重減少,および糖尿病の寛解に寄与する可能性がある。インスリン感受性の増加は,有意な体重減少がみられる前の手術直後から明白となり,神経ホルモンの因子が糖尿病の寛解に重要であることが示唆される。腸内細菌叢の変化も,RYGB施行後の体重変化の一因になる可能性がある。

Roux-en-Y 法

RYGBは通常は腹腔鏡下で行う。近位胃の小部分を残りの部分から分離して,30mL未満の胃嚢を作る。また,食物が正常時に吸収の場となる胃の一部と小腸を迂回し,そのため吸収される食物およびカロリーの量が減少する。胃嚢は近位空腸に結合する;開口部は狭く,胃排出の速度を制限する。バイパスされた胃とつながっている小腸部分は,遠位小腸に結合する。この配置により胆汁酸と膵酵素が消化管内容物と混ざり,吸収不良および栄養欠乏が抑えられる。

RYGBは糖尿病の治療に特に効果的であり,6年後の寛解率は最大62%である。

RYGBを受けたことのある多くの患者は,脂肪および糖分を多く含有する食物を摂取するとダンピング症候群が起こることがあり,その症状としては,ふらつき,発汗,悪心,腹痛,下痢などがある。ダンピング症候群では,有害な条件付けによって,そのような食物の摂取が妨げられると考えられる。

Roux-en-Y法による胃バイパス術

スリーブ状胃切除術

スリーブ状胃切除術はかつて,RYGBや胆膵バイパス術(例,BMIが60を超える患者)などの術式ではリスクが高過ぎると判断された場合に限って,典型的にはそれらの術式または他の類似する術式による手術を行う前に施行されていた。しかしながら,スリーブ状胃切除術は大幅かつ持続的な体重減少をもたらすことから,現在の米国では重度肥満に対する根治的治療として用いられている。胃の一部を切除し,管状の胃の通路を形成する。この手技は,小腸への解剖学的変化を伴わない。

超過体重減少率の平均値は,調節性胃バンディング術の場合よりも大きい傾向がある。スリーブ状胃切除術は従来から摂取量を制限する手術に分類されているが,体重減少はおそらく神経ホルモンの変化とも関連している。

最も重篤な合併症は,胃の縫合線からの漏出であり,患者の1~3%に生じる。

調節性胃バンディング術

調節性胃バンディング術の施行は,米国では劇的に減少している。胃の上部の周囲にバンドを留置し,胃を上部の小さな袋と下部の大きな袋に分割する。一般的には,皮下に埋め込んだポートを介して,バンド内に生理食塩水を注入することによって,4~6回バンドを調整する。生理食塩水を注入すると,バンドが膨張し,胃の上部の小袋を締めつける。その結果,小袋に貯留できる食物の量が極めて少なくなり,患者はよりゆっくり食事するようになり,より早期に満腹感が生じる。この手術は通常は腹腔鏡下で行う。合併症が起こった場合,またはバンドを締めつけ過ぎた場合は,生理食塩水をバンドから取り除くことができる。

バンドによる体重減少は様々であり,フォローアップの頻度と関連する;フォローアップの頻度が高いほど,大きな体重減少をもたらす。術後の罹病率および死亡率はRYGBより低いが,再手術を含む長期的な合併症の可能性がより高く,最大15%の患者に起こる可能性がある。

調節性胃バンディング術

十二指腸スイッチを伴う胆膵バイパス術

この手術は,米国で行われる肥満外科手術の5%未満を占める。

胃の一部を除去することで,摂取量が制限される。残りの部分は十二指腸に流入する。十二指腸を切断して回腸に結合し,Oddi括約筋(胆汁酸および膵酵素が流入する場所)を含む小腸の大部分をバイパスする;結果として食物の吸収が減少する。この手技は高度な技術を要するが,ときに腹腔鏡下で施行できる。

吸収不良および栄養欠乏が生じることが多い。

垂直遮断胃形成術

垂直遮断胃形成術は合併症発生率が高く,もたらされる体重減少が不十分であるため,もはや一般的には施行されていない。この術式では,ステープラーを用いて,胃を上部の小さな袋と下部の大きな袋に分割する。上部の袋から下部の袋へと流入する開口部の周囲に,伸縮しないプラスチックバンドを留置する。

肥満外科手術の術前評価

術前評価は以下で構成される:

  • 可能な限り併存疾患を診断して是正すること

  • 生活習慣の改善に取り組む準備状況と能力を評価すること

  • 手術に対する禁忌を排除すること

  • 術後の食事の見直しと,患者が必要な生活習慣の改善を行えるかどうかの栄養士による評価

  • 心理士または資格を有する他の精神医療従事者による,コントロールできない精神障害や手術を妨げる依存症の同定,手術後の生活習慣の改善に対するアドヒアランスを阻みうる要因の同定および話合い

広範な術前評価は必ずしもルーチンに必要ではないが,臨床所見に基づく術前検査が必要になることがあり,特定の病態(例,高血圧)を管理するまたはそのリスクを下げる対策をとることもある。

  • 肺:臨床上の疑いに基づく閉塞性睡眠時無呼吸症候群のリスクがある患者には,睡眠ポリグラフ検査によるスクリーニングを行うべきであり,閉塞性睡眠時無呼吸症候群がみられる場合は,持続陽圧呼吸療法(CPAP)で治療すべきである。この診断は,心血管疾患の罹患および若年死のリスクを示す。喫煙は,術後の肺合併症,潰瘍,および消化管出血のリスクを増加させる。周術期合併症を最小限に抑えるため,喫煙は手術の少なくとも6週間前(1年前が望ましい)から,さらに術後も無期限にやめさせるべきである。

  • 心臓:たとえ無症状の患者でも,潜在する冠動脈疾患を同定するため,個人のリスクに対して妥当と判断される場合には,術前の心電図検査とその他の非侵襲的な心機能検査を考慮する。肥満は肺高血圧症のリスクを増加させるが,心エコー検査はルーチンには行わない。その他の心機能検査はルーチンには行わず,むしろ個々の患者の冠動脈疾患の危険因子,手術のリスク,および身体機能状態に基づいて行う。手術前に血圧を至適レベルでコントロールしておくべきである。周術期には,急性腎障害のリスクが高まることから,その間は必要に応じて利尿薬,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬,およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を慎重に使用すべきである。

  • 消化管:臨床的に有意な消化管症状がみられる患者には,術前に内視鏡検査または消化管画像検査を施行すべきである。吻合部潰瘍のリスクを減らすために,医師がHelicobacter pylor感染症の検査および治療を行うことがあるが,そのような治療を術前に行う必要性に関するエビデンスには一貫性がない。

  • 肝臓:肝酵素(特にアラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT])の増加は,肥満外科手術の適応がある患者でよくみられ,脂肪肝を示唆している可能性がある。肝酵素値が臨床的に有意かつ持続的に上昇している場合は評価を行うべきであり,脂肪肝の結果とは考えずに,肝酵素値異常にそれ以外の原因がないか調べるべきである。肥満外科手術の際に予防的胆嚢摘出術(胆石症のリスクを減少させるため)を併施する計画がある場合は,肝超音波検査を行うことがある。

  • 代謝性骨疾患:肥満患者には,ビタミンD欠乏症および代謝性骨疾患のリスクがあり,ときに二次性副甲状腺機能亢進症を伴う。特にビタミンD欠乏症が術前によくみられ,術後に吸収不良が発生するため,術前にこれらの疾患のスクリーニングを行い治療すべきである。

  • 糖尿病:管理不良の糖尿病は,有害な手術結果のリスクを高めるため,術前に血糖コントロールを最適化すべきである。入院期間の短縮と肥満外科手術の成績改善を予測しうる術前血糖コントロールに対応するHbA1cの妥当な目標範囲は6.5~7.0%である。

  • 栄養:肥満患者には栄養欠乏のリスクがあり,食事の好みおよび耐性が変化し,胃の酸性度が変わり,小腸からの吸収が減少するため,術後に栄養欠乏が増悪することがある。ビタミンD,ビタミンB12,葉酸,および鉄の濃度のルーチンの測定が推奨される。特定の患者に対して,チアミン(ビタミンB1)など,他の栄養素の濃度測定も適応となることがある。

  • 生殖面の健康:妊娠可能年齢の女性には,術後に妊孕性が改善する可能性があることを忠告すべきである。該当する女性は,肥満外科手術の前後に用いる避妊法の選択についてカウンセリングを受けるべきであり,術前と術後12~18カ月間は妊娠を避けるべきである。吸収を抑制する手術を受ける患者は,栄養サーベイランスと栄養素の欠乏を調べる臨床検査をトリメスター毎に受けるべきである。

肥満外科手術のリスク

周術期のリスクは,肥満外科手術を公認の施設で行う場合に最も低い。

合併症としては以下のものがある:

  • 胃および/または吻合部の漏出(1~3%)

  • 肺の合併症(例,人工呼吸器への依存,肺炎,肺塞栓

  • 心筋梗塞

  • 創傷感染症

  • 瘢痕ヘルニア

  • 小腸閉塞

  • 消化管出血

  • 腹壁ヘルニア

  • 深部静脈血栓症

これらの合併症は,重大な病態,入院期間の延長,および費用の増加の原因となることがある。頻脈が吻合部からの漏出の唯一の初期徴候となることがある。

後期の問題には,小腸閉塞および吻合部狭窄に続発する長期の悪心および嘔吐がある。

栄養欠乏(例,タンパク質-エネルギー低栄養ビタミンB12欠乏症鉄欠乏症)が,不十分な摂取,不十分な補給,または吸収不良の結果,起こることがある。悪臭を放つ鼓腸,下痢,またはその両方が発生することがある(特に吸収を抑制する手術の後で)。カルシウムおよびビタミンDの吸収が障害されることがあり,欠乏症ならびにときに低カルシウム血症および二次性副甲状腺機能亢進症を引き起こす。長期にわたる嘔吐に伴って,チアミン欠乏症が起こることがある。

逆流の症状がみられることがある(特にスリーブ状胃切除術の後で)。急速に体重が減少する間に,胆石症(しばしば症状を伴う),痛風,および腎結石症が発生することがある。

肥満外科手術を受ける患者では,うつ病などの精神障害の発生率が高い。2016年のメタアナリシスでは,術前にうつ病が多いことが確認され,術後にはうつ病の有病率と重症度が低下したと報告された(1)。ある大規模研究では,肥満外科手術を受けた患者の自殺リスクが対照群と比較して高いことが示唆された(1万人年当たり2.7 vs 1.2;ハザード比1.71 [0.69-4.25];P値 = 0.25 [2])。肥満外科手術の後にはアルコール使用障害の発生率も上昇するようである(3)。

食習慣が乱れることがある。新しい食習慣への順応が困難なことがある。

リスクに関する参考文献

  1. 1.Dawes AJ, Maggard-Gibbons M, Maher AR, et al: Mental health conditions among patients seeking and undergoing bariatric surgery: A meta-analysis.JAMA 315 (2):150–163, 2016.doi: 10.1001/jama.2015.18118.

  2. 2.Adams TD, Gress RE, Smith SC, et al: Long-term mortality after gastric bypass surgery.N Engl J Med 357:753–761, 2007.

  3. 3.Heinberg LJ, Ashton K, Coughlin J: Alcohol and bariatric surgery: review and suggested recommendations for assessment and management.Surg Obes Relat Dis 8 (3):357-363, 2012.doi: 10.1016/j.soard.2012.01.016.

肥満外科手術の予後

卓越した研究拠点(COE:centers of excellence)としてAmerican Society of Bariatric Surgeryが公認している病院における30日全死亡率は0.2~0.3%である。しかし,一部のデータからは,COEであることよりも,病院および外科医によって行われた手術の数の方が,重篤な合併症の発生率の低下をより正確に予測することが示唆されている。

死亡率は,腹腔鏡下調節性胃バンディング術よりRoux-en-Y法による胃バイパス術(RYGB)の方が高く,腹腔鏡下手術(0.2%)より開腹手術(2.1%)の方が高い。より高い死亡リスクを予測する因子としては,深部静脈血栓症または肺塞栓症閉塞性睡眠時無呼吸症候群,および身体機能低下の既往などがある。重度の肥満(BMIが50を超える),高齢,男性など,他の因子にもリスク上昇との関連が報告されているが,エビデンスは一貫していない。

超過体重減少の平均値は,手技によって異なる。

腹腔鏡下調節性胃バンディング術で得られる体重減少は以下の通りである:

  • 3~6年で45~72%

  • 7~10年で14~60%

  • 15年で約47%

体重減少の割合は,フォローアップの頻度およびバンド調節の回数と関連する。BMIの低い患者は,BMIの高い患者よりも超過体重をより減らす傾向がある。

スリーブ状胃切除術で得られる体重減少は以下の通りである:

  • 2年で33~58%

  • 3~6年で58~72%

より長期間のデータはない。

Roux-en-Y法による胃バイパス術で得られる体重減少は以下の通りである:

  • 2年で50~65%

RYGB後の体重減少は最長で10年間維持される。

肥満外科手術後に軽減または消失する傾向がある併存疾患として,心血管系危険因子(例,脂質異常症,高血圧,糖尿病),心血管疾患,糖尿病,閉塞性睡眠時無呼吸症候群,変形性関節症,うつ病などがある。特に糖尿病は寛解する可能性が高い(例,RYGBでは6年時点で最大62%の患者が寛解している)。主に心血管死亡率とがん死亡率が低下することで,全死亡率が25%低下する。

肥満外科手術後のフォローアップ

長期間の定期的なフォローアップが,十分な体重減少を確実にし,合併症を予防するのに役立つ。Roux-en-Y法による胃バイパス術またはスリーブ状胃切除術の施行後には,急速な体重減少がみられる期間(通常は術後最初の約6カ月間)は4~12週毎に,その後は6~12カ月毎に患者をモニタリングすべきである。腹腔鏡下調節性胃バンディング術では,術後最初の1年間に少なくとも6回,患者をモニタリングしてバンドの調整を行った場合に,成績が至適なレベルになると考えられる。

体重と血圧をチェックし,食習慣を確認する。血液検査(通常は血算,電解質,グルコース,血中尿素窒素,クレアチニン,アルブミン,およびタンパク質,ならびに肝機能検査)を定期的に行う。糖化ヘモグロビン(HbA1c)および空腹時の脂質濃度が術前に異常であった場合,これらをモニタリングすべきである。手技の種類に応じて,カルシウム,ビタミンD,ビタミンB12,葉酸,鉄,チアミン(ビタミンB1)など,ビタミンとミネラルの濃度のモニタリングが必要になることがある。二次性副甲状腺機能亢進症のリスクがあるため,副甲状腺ホルモンの濃度もモニタリングすべきである。スリーブ状胃切除術またはRoux-en-Y法による胃バイパス術の施行後には,骨密度を測定すべきである。

医師は,術後の急速な体重減少の間,降圧薬,インスリン,経口血糖降下薬,または脂質低下薬に対する反応の変化がないか確認すべきである。

肥満外科手術後に発生する可能性がある痛風胆石症,および腎結石症について定期的に評価すべきである。ウルソデオキシコール酸の予防投与は,胆石症のリスクを低減させるため,肥満外科手術後に勧めるべきである。さらに,患者をうつ病および飲酒について定期的にスクリーニングすべきである(特に手術前の飲酒が大量だった場合)。

糖尿病患者の低血糖のリスク(肥満外科手術後のインスリン感受性亢進による)を最小限に抑えるため,Roux-en-Y法による胃バイパス術またはスリーブ状胃切除術の施行後には,医師がインスリンの投与量を調整し,経口血糖降下薬(特にスルホニル尿素薬)を減量または中止すべきである。

肥満外科手術の要点

  • 患者に手術を受ける意思があり,手術以外の治療を用いても奏効しておらず,BMIが40kg/m2を超えているか,もしくはBMIが35kg/m2を超えていることに加えて重篤な合併症(例,糖尿病,高血圧,閉塞性睡眠時無呼吸症候群,高リスクの脂質プロファイル)がある場合,または,BMIが30~34.9の2型糖尿病患者で,至適な生活習慣と薬物療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分な場合は,減量手術を考慮する。

  • 患者にコントロールできない精神障害(例,うつ病),薬物やアルコールの乱用,寛解状態にないがん,もしくは生命を脅かす他の疾患がある場合,または患者が栄養所要量(適応がある場合,生涯にわたるビタミン補充を含む)を遵守できない場合は,減量手術は禁忌である。

  • 最も一般的な手技はRoux-en-Y法による胃バイパス術であり,スリーブ状胃切除術がそれに続く;調節性胃バンディング術の使用は米国では劇的に減少している。

  • 術後は,低下した体重の維持,体重に関連した併存疾患の解消,および手術の合併症(例,栄養欠乏,代謝性骨疾患,痛風,胆石症,腎結石症,うつ病,アルコール乱用)について患者を定期的にモニタリングする。

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