栄養所要量

執筆者:Adrienne Youdim, MD, David Geffen School of Medicine at UCLA
レビュー/改訂 2019年 5月
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良好な栄養摂取が目的とするものは,望ましい身体組成,ならびに身体的および精神的活動のための高い能力を獲得し維持することである。望ましい体重にはエネルギーの摂取と消費のバランスをとることが必要である。エネルギー消費量は,年齢,性別,体重(推奨される食事摂取基準の表を参照),ならびに代謝活性および身体活動によって決まる。エネルギー摂取が消費を上回れば,体重は増加する。エネルギー摂取が消費を下回れば,体重は減少する。

必須栄養素の1日当たりの食事からの必要摂取量も,年齢,性別,体重,ならびに代謝活性および身体活動によって異なる。National Academy of Sciences(米国科学アカデミー)/National Research Council(全米研究評議会)のFood and Nutrition Board(栄養食品委員会)と米国農務省(US Department of Agriculture:USDA)は,タンパク質,エネルギー,ならびに一部のビタミンおよびミネラルの食事摂取基準(DRI)を5年毎に発表している(推奨される食事摂取基準ビタミンの1日当たりの推奨摂取量,および1日当たり摂取量のガイドラインの表も参照)。よくわかっていないビタミンおよびミネラルについては,安全かつ十分な毎日の食事による摂取量が推計されている。

妊婦および乳児には特別な栄養必要量がある。

USDAは,個々のニーズに応じて健康的な食習慣を確立し健康的な食品を選ぶ手助けとなる,MyPlateを発表している。推奨量は,年齢,性別,および身体活動に基づき個別化される。

表&コラム

一般に,加齢とともに身体活動は減少する傾向があり,消費されるエネルギーが減るため,推奨摂取量は減少する。

成人および小児において以下の一般的な指針が重視される:

  • 全粒穀物の摂取を増やす

  • 野菜および果物の摂取を増やす

  • 全脂乳製品を,無脂肪または低脂肪乳製品(または同等の物)で代用する

  • 飽和脂肪の摂取を減らす

  • トランス脂肪酸の摂取を減らす,または摂取をやめる

  • 定期的に運動する

また,十分な水分摂取も重要である。

脂肪は総カロリーの28%以下に抑え,また飽和脂肪酸およびトランス脂肪酸を8%未満にすべきである。飽和脂肪の過剰摂取は,動脈硬化の一因となる。飽和脂肪を多価不飽和脂肪酸で代用すれば,動脈硬化のリスクを低下できる。

栄養補助食品の常用は必要性もなければ有益でもなく,中には有害なものもある。例えば,ビタミンAの過剰摂取は,頭痛,骨粗鬆症,および発疹を伴うビタミンA過剰症を招くことがある。

栄養所要量についてのより詳細な情報

  1. US Department of Health and Human Services and US Department of Agriculture: Dietary Guidelines for Americans, 2015-2020, 8th edition

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