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自殺行動

執筆者:

Paula J. Clayton

, MD, University of Minnesota School of Medicine

レビュー/改訂 2019年 10月
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自殺行動には自殺既遂と自殺企図が含まれる。自殺を想像する,自殺について真剣に考える,または自殺を計画することは,自殺念慮と呼ばれる。

自殺行動の疫学

自殺行動に関する統計は,主として死亡診断書および検死時に記録された報告に基づいており,実際の発生率を過小評価している。米国では,より信頼性の高い情報を収集するため,米国疾病予防管理センター(Centers for Disease control and prevention:CDC)がNational Violent Death Reporting System(NVDRS)を設立しており,これは暴力死(殺人および自殺)の原因をより詳細に解明するために,個々の暴力事件について様々な情報源から情報を収集する州単位の制度である。NVDRSは現在,米国の全50州とコロンビア特別区,さらにプエルトリコで施行されている。

米国では,自殺は10番目に多い死因となっており,2017年には死亡率が10万人当たり14.6人,自殺既遂が47,000件であった。米国では,1日当たり129人が自殺により死亡している。発生率は州によって大きく異なる。アメリカンインディアンおよびアラスカ先住民のコミュニティで最も高い。死因としての自殺の順位は以下の通りである:

  • 10~34歳では2位

  • 35~54歳では4位

  • 55~64歳では8位

現在,自殺率が最も高い年齢群は,近年の著しい増加の結果,45~64歳となっている。この年齢群の自殺率が上昇した理由は不明であるが,以下の要因が寄与している可能性がある:

自殺率が2番目に高い年齢層は85歳以上である。

いずれの年齢群においても,自殺による男性の死亡者数は3.5対1の比率で女性の死亡者数より多くなっている。その理由は不明であるが,考えられる説明として以下のものがある:

  • 男性は,悩んでいるときに助けを求めることが少ない。

  • 男性はアルコールおよび薬物乱用の有病率が高く,これが自殺傾向につながっている。

  • 男性はより攻撃的であり,自殺を試みる際により致死的な手段を採用する。

  • 男性の自殺者数には,女性より男性の占める割合が高い軍人および退役軍人の自殺者が含まれている。

自殺10件当たり7件を白人男性が占めている。

2016年には,130万人以上の人が自殺企図を行った。自殺による死亡1例に対し,約25例の自殺企図が起きている。多くが自殺企図を繰り返す。自殺企図者で最終的に自殺により死亡するのは5~10%のみであるが,高齢者では自殺企図者の4人に1人が死亡する。女性では自殺企図が男性より2~3倍多く,15~19歳の女子においては,同年齢の男子の自殺企図1例につき100例の比率で自殺企図が起きている可能性がある。

遺書を残すのは自殺既遂者の約6人に1人である。その内容には,自殺の理由(精神障害を含む)が示されていることがある。

後追い自殺または群発自殺が自殺全体の約10%を占める。集団自殺は極めてまれであり,無理心中も同様である。まれに,警察官が殺害せざるを得ない行為(例,武器を振り回す)に至る者もおり,警察を利用した自殺(suicide by police)と呼ばれる。

自殺行動の病因

自殺行動は通常,複数の因子の相互作用により生じる。

自殺の治療可能な主な危険因子は次のものである:

うつ病エピソードの期間の長さが自殺の最も強い予測因子である。また,自殺は重度の 不安 不安症の概要 恐怖や不安は誰もが日常的に経験するものである。 恐怖とは,直ちに認識可能な外部からの脅威(例,侵入者,凍結した路面でスピンする車)に対する情動的,身体的,および行動的な反応である。 不安とは,神経過敏や心配事による苦痛で不快な感情状態であり,その原因はあまり明確ではない。脅威が生じる厳密な時期と不安との間に強い結びつきはなく,不安は脅威の... さらに読む がうつ病または 双極性障害の抑うつエピソード 双極性障害 双極性障害は,躁病エピソードおよび 抑うつエピソードにより特徴づけられ,これらは交互に生じることもあるが,多くの患者はどちらか一方が優勢である。正確な原因は不明であるが,遺伝,脳内神経伝達物質の変化,および心理社会的因子が関与する可能性がある。診断は病歴に基づく。治療は気分安定薬の投与で構成され,ときに精神療法を併用する。... さらに読む の一部である場合に,より頻度が高いようである。また,若年齢群では抗うつ薬の服用開始後には自殺念慮および自殺企図のリスクが高まる可能性がある(うつ病の治療と自殺のリスク うつ病の治療と自殺のリスク 自殺行動には自殺既遂と自殺企図が含まれる。自殺を想像する,自殺について真剣に考える,または自殺を計画することは,自殺念慮と呼ばれる。 (American Psychiatric Association’s Practice Guideline for the Assessment... さらに読む および 自殺リスクと抗うつ薬 抗うつ薬と自殺リスク うつ病の治療には,いくつかの薬物クラスおよび薬物が使用できる: 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI) セロトニン調節薬(5-HT2遮断薬) セロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 ノルアドレナリン-ドパミン再取り込み阻害薬 さらに読む を参照)。

自殺の他の危険因子としては以下のものがある:

  • 他の大半の重篤な精神障害

  • 飲酒,乱用薬物,および処方鎮痛薬の使用

  • 過去の自殺企図

  • 重篤な身体疾患(特に高齢者)

  • パーソナリティ障害

  • 衝動性

  • 失業および経済不況

  • 小児期の心理的に外傷的な体験

  • 自殺および/または精神障害の家族歴

自殺による死は,年齢および性別をマッチングした対照と比較して,精神障害の患者でより高頻度でみられる。

アルコール アルコール中毒および離脱 アルコール(エタノール)は中枢抑制薬である。短時間で大量に飲酒すると,呼吸抑制と昏睡を来たし,死に至ることがある。長期にわたる大量の飲酒は,肝臓や他の多くの臓器を損傷する。アルコール離脱症状は振戦から,重度の離脱(振戦せん妄)でみられる痙攣発作,幻覚,および生命を脅かす自律神経不安定状態に至るまで,連続的な病態として現れる。診断は臨床的に... さらに読む および乱用薬物は,脱抑制および衝動性を増強すると同時に,気分を悪化させることがあるが,この組合せが致死的となる可能性がある。自殺により死亡する人の30~40%は企図前に飲酒しており,そのうち約半数は自殺企図時に酩酊状態であった。衝動的な若年の男性および女性は,特にアルコールの影響を受けやすく,中等度の酩酊状態がより致死的な自殺方法の選択につながる可能性がある(1 病因論に関する参考文献 自殺行動には自殺既遂と自殺企図が含まれる。自殺を想像する,自殺について真剣に考える,または自殺を計画することは,自殺念慮と呼ばれる。 (American Psychiatric Association’s Practice Guideline for the Assessment... さらに読む )。しかしながら, アルコール使用障害 アルコール使用障害とリハビリテーション アルコール使用障害では,飲酒のパターンが生じ,典型的には渇望と耐性(tolerance)の症状および/または心理社会的な悪影響のある離脱症状が伴う。アルコール依存症およびアルコール乱用は一般的であるが,あまり厳密に定義されていない用語であり,アルコール関連の問題を有する人に適用される。... さらに読む 患者は,たとえ酔っていない状態でも,自殺のリスクが高い。

高齢者の自殺の約20%には,重篤な身体疾患(特に痛みを伴う慢性疾患)が寄与している。

特定の社会的因子(例,セックスパートナーの問題,いじめ,最近の逮捕,法律上のトラブル)が自殺と関連するようである。そのような出来事の発生後には,すでに苦痛に苛まれている人にとって,しばしば自殺が最後の手段となる。

小児期の心理的に外傷的な体験(特に性的もしくは身体的虐待または親との離別によるストレス)は,自殺企図のほか,おそらくは自殺既遂と関連する。

自殺には家族集積性があり,自殺,自殺企図,または精神障害の家族歴は,自殺危険性の高い人における自殺リスクの増加と関連している。

病因論に関する参考文献

  • 1.Park CHK, Yoo SH, Lee J, et al: Impact of acute alcohol consumption on lethality of suicide methods.Compr Psychiatry 75:27–34, 2017.doi: 10.1016/j.comppsych.2017.02.012.

自殺行動の方法

自殺方法の選択は,文化的因子や自殺手段の利用可能性,さらには意図の真剣さなど,数多くの要因によって決定される。生存がほぼ不可能な方法(例,高所からの飛び降り)もあれば,救命の可能性がある方法(例,薬物摂取)もある。しかしながら,致死的でないような方法を用いていることは,必ずしも自殺の意図があまり真剣でないということを意味しない。

奇異な自殺方法は根底にある精神病を示唆する。

自殺企図に関しては,薬物摂取が最もよく用いられる方法である。銃撃や縊死などの暴力的な方法は自殺企図では一般的ではない。

米国における自殺既遂のほぼ50%で銃が使用されており,この方法を使用するのは女性よりも男性の方が多い。女性は男性よりも服毒を選択することが多い。その他の典型的な自殺方法としては,縊死,高所からの飛び降り,入水,刃物の使用などがある。

車で崖から飛び降りるなどの一部の方法は,他者を危険に曝す可能性がある。

自殺行動の管理

ほとんどの司法管轄区域では,患者に自殺の可能性があることを予見した医療従事者は,介入の権限をもつ機関に報告することが求められている。これを怠ると,刑事および民事訴訟につながる可能性もある。そのような患者は,安全な環境下に置かれるまで1人にしてはならない。訓練を受けた専門職(例,救急隊員,警察)により安全な環境(しばしば精神医療施設)へ移送されるべきである。

自殺の素振りであろうと自殺企図であろうと,いかなる自殺行為も真剣に受けとめなければならない。重篤な自傷行為のある者については,必ず身体的損傷に対する評価および治療を行うべきである。

最初の評価は,自殺行動の評価および管理について訓練を受けた者であれば,あらゆる医療従事者が行うことができる。しかしながら,全ての患者に可及的速やかな精神医学的評価が必要である。入院が必要か否か,および強制的な処置または拘束が必要か否かを判断しなければならない。精神病性障害の患者,および重度の抑うつに加えて未解決の危機的状況が併存する一部の患者は,精神科病棟に入院させるべきである。判断に影響を与える身体疾患の臨床症状(例,せん妄,痙攣発作,発熱)がみられる患者では,適切な自殺予防策が講じられた身体科病棟への入院が必要になりうる。

自殺企図の後に,自殺行為を引き起こした重度の抑うつの後に一時的な気分の高揚が生じることがあるため,患者が一切の問題を否定することがある。それでも,患者の疾患が治療されない限り,その後に自殺既遂に至るリスクが高い。

精神医学的評価では,自殺企図の原因となった問題の一部を確認し,医師が適切な治療計画を立てるための一助とする。評価は以下から成る:

  • 信頼関係(rapport[ラポール])の確立および患者の話への傾聴

  • 自殺企図,その背景,先行した出来事,および自殺企図を起こした状況の理解

  • 自殺に関連する精神障害の症状とそうした障害の治療のために患者が服用している可能性がある薬剤に関する問診

  • うつ病,不安,焦燥,パニック発作,重度の不眠症,その他の精神障害,アルコールまたは薬物乱用(これらの問題の多くは危機介入に加えて特別な治療を要する)の把握に特に重点を置いた,患者の精神状態の詳細な評価

  • 個人間の関係および家族関係と社会的ネットワーク(しばしば自殺企図やフォローアップ治療に関係してくる)の精密な評価

  • 親密な家族および友人との面接

  • 家屋内の銃器の有無に関する質問(そのような質問が法律で禁じられているフロリダ州を除く)

精神衛生管理

精神衛生管理に関する参考文献

  • 1.Michel K, Valach L, Gysin-Maillart A: A novel therapy for people who attempt suicide and why we need new models of suicide.Int J Environ Res Public Health 14 (3), 2017.pii: E243.doi: 10.3390/ijerph14030243.

  • 2.Stanley B, Brown G: Safety planning intervention: A brief intervention to mitigate suicide risk.Cogn Behav Pract 19: 256-264, 2011.

自殺行動の予防

自殺の予防には,リスクの高い人を同定して(自殺の危険因子および警告徴候 自殺の危険因子および警告徴候 自殺の危険因子および警告徴候 の表を参照),適切な介入を開始することが必要である。

自殺企図後に入院した患者は,退院後の最初の数日から数週間は自殺による死亡リスクが最大となり,退院後最初の6~12カ月間はリスクが高いままであるという点でコンセンサスが得られている。その後,リスクは増加と減少を繰り返すが,自殺傾向が認められたことのない人と比べると,常に高い水準にある。

自殺リスクが増加する理由としては,以下のものがある:

  • 患者の気分が改善するまでに長い時間がかかる場合がある。

  • 楽観的な感情を抱けないために,患者が処方薬を服用しない場合がある。

  • 気分が良好でないために,患者が定期的なフォローアップのための受診をしない場合がある。

  • 一旦自宅に戻ると,原因となる問題が解決していないと感じられる。

したがって,退院前に患者と家族または親友に対して自殺による切迫した死亡リスクについてのカウンセリングを行うべきであり,また退院後最初の週のフォローアップの予約を患者が退院する前に決めるべきである。退院後に1~2回電話をかけるだけで,自殺企図の再発が有意に減少することが示されている。さらに,患者が使用する薬剤の名称,用量,および投与頻度を患者と家族または友人に伝えておくべきである。

退院後最初の数週間は,家族や友人によって以下の状態が確保されるべきである:

  • 患者を1人にしない。

  • 処方薬のレジメンに対する患者のアドヒアランスがモニタリングされている。

  • 全般的な精神状態,気分,睡眠パターン,および活力(例,起床,更衣,周囲の人との交流に向かう活力)について,誰かが毎日,患者に確認する。

患者の家族または友人が患者のフォローアップの予約を取り,患者の改善の有無について医療従事者に情報提供をするべきである。このような介入は退院後2カ月以上続けるべきである。

自殺企図または自殺既遂の一部は,親密な近親者や関係者に対しても驚きやショックをもたらす場合があるが,家族,友人,または医療従事者に明らかな警告が発せられていた場合もある。患者が実際に計画について話す,または突然遺書を書く,もしくは遺書を書き換えるというように,警告はしばしば明白である。しかしながら,患者が何のために生きているのか分からない,または死んだ方がましだといったようなことを話すなど,より微妙な警告の場合もある。

プライマリケア医は,平均すると年に6例以上の頻度で,自殺の可能性がある患者に遭遇する。自殺者の約77%は自殺前の1年以内に医師を受診しており,約32%は自殺前の1年間に精神科のケアを受けていた。

痛みを伴う重度の身体疾患,物質乱用,および精神障害(特にうつ病)は,しばしば自殺の因子となるため,このような考慮すべき因子を識別し,適切な治療を開始することは,医師が自殺予防のためにできる重要な貢献である。

うつ病患者には必ず自殺念慮について質問するべきである。そのような質問をすると,患者に自己破壊の考えが植えつけられるのではないかという恐れには,根拠がない。質問することで,医師はうつ病の重篤さをより明確に把握でき,建設的な話合いを促し,医師が患者の深い絶望感や無力感を認識していることを伝えるのに役立つ。

今にも自殺すると脅してくる当事者(例,電話してこれから致死量の薬を飲むところだと告げる患者,高所から飛び降りると脅す患者)であっても,生きたいという願望はいくばくかは存在している場合がある。助けてほしいと求められた医師または他の者は,生を求めるその願望を支援しなくてはならない。

自殺傾向のある人々を対象とする緊急の精神医学的援助としては以下のものがある:

  • 当事者と関係を構築し,率直なコミュニケーションを取る

  • 現在および過去の精神科治療ならびに現在服用している薬剤について質問する

  • 危機を引き起こしている問題の解決を手助けする

  • 患者とともに策定する書面での安全計画を含めて,問題に対する建設的な支援を提案する

  • 基礎にある精神障害の治療を開始する

  • 可及的速やかに適切なフォローアップケアの場に紹介する

  • 低リスク患者は,親密な家族または献身的で理解のある友人を付き添わせて退院させる

  • このような患者には,Lifelineの電話番号(1-800-273-TALK[8255])もしくはオンラインのLifeline Crisis ChatCrisis Text Line(text HOME to 741741)またはAmerican Foundation for Suicide Preventionへのリンクを提供する【訳注:日本では「いのちの電話」https://www.inochinodenwa.org/lifeline.php】

うつ病の治療と自殺のリスク

うつ病患者は自殺リスクが高く,自殺行動および希死念慮について注意深くモニタリングされるべきである。うつ病治療の初期には自殺リスクが高まることがあり,このとき,精神運動制止および決断困難は改善しているが,抑うつ気分は部分的にしか改善していない。抗うつ薬の開始時または用量の増量時には,一部の患者で焦燥,不安,および悪化する抑うつがみられるが,これらにより自殺傾向が高まることがある。

小児,青年,および若年成人において,抗うつ薬の使用(特にパロキセチン)と自殺念慮および自殺企図が関連する可能性に関する最近の公衆衛生上の警告のため,これらの集団に対する抗うつ薬の処方は大幅に(30%以上)減少した。しかしながら,同じ期間中に若年者の自殺率は14%増加した。このため,これらの警告は,うつ病の薬物療法を控えさせることで,自殺による死亡を減少させたのではなく,むしろ一時的に増加させた可能性がある。これらの知見を総合すると,治療を促しながら,以下のような適切な予防策を講じることが最善の方法であることが示唆される:

  • 配付する抗うつ薬が致死量を超えないようにする

  • 過量服薬しても死に至らない抗うつ薬を優先して使用する

  • 治療の早期には来院頻度を増やす

  • 患者,家族,その他の重要な関係者に対し,症状の悪化または希死念慮に注意するよう明確な警告を与える

  • 患者,家族,その他の重要な関係者に対し,症状の悪化または希死念慮がみられた場合は直ちに処方医に連絡するか,他の場所でのケアを求めるよう指示する

リチウムを抗うつ薬および非定型抗精神病薬と併用すると,うつ病または双極性障害患者における自殺による死亡数が減少することが,いくつかの研究で示されている。リチウムは,たとえ低用量でも,反復性のうつ病に対する抗自殺薬として非常に有効である。さらに,クロザピンは統合失調症患者における自殺リスクを低下させる。

自殺傾向がある抑うつ状態の患者に対しては,心理的介入やエスケタミンの鼻腔内投与による薬理学的介入,アルコールおよびオピオイド離脱症状の治療に使用される薬剤など,複数の新しい治療法が研究段階にある。さらに学校ベースの介入や公衆衛生的介入もある。その一例として,高校で青年のピアリーダーによって提供される自殺予防プログラムであるSources of Strengthがある(1 うつ病の治療と自殺のリスクに関する参考文献 自殺行動には自殺既遂と自殺企図が含まれる。自殺を想像する,自殺について真剣に考える,または自殺を計画することは,自殺念慮と呼ばれる。 (American Psychiatric Association’s Practice Guideline for the Assessment... さらに読む )。研究によると,自殺ホットラインのボランティアに対する訓練は,電話をかけてきた個人の中でも特に支援を必要としている者を適切な対応者に紹介するのに役立ち,救命にもつながりうる(2 うつ病の治療と自殺のリスクに関する参考文献 自殺行動には自殺既遂と自殺企図が含まれる。自殺を想像する,自殺について真剣に考える,または自殺を計画することは,自殺念慮と呼ばれる。 (American Psychiatric Association’s Practice Guideline for the Assessment... さらに読む )。

うつ病の治療と自殺のリスクに関する参考文献

  • 1.Wyman PA, Brown CH, LoMurray M, et al: An outcome evaluation of the Sources of Strength suicide prevention program delivered by adolescent peer leaders in high schools.Am J Public Health 100:1653-1661, 2010.doi: 10.2105/AJPH.2009.190025.

  • 2.Gould MS, Cross W, Pisani AR, et al: Impact of applied suicide intervention skills training (ASIST) on national suicide prevention lifeline counselor.Suicide Life Threat Behav 43:676-691, 2013.doi: 10.1111/sltb.12049

自殺の影響

自殺行為はいかなるものでも,関係者全員に著しい精神面での影響を及ぼす。医師,家族,および友人は,自殺を防止できなかったことに罪悪感,恥辱感,および後悔の念を抱き,同時に故人または他の人に対して怒りを覚えることもある。医師としては,遺族および友人が罪悪感および悲しみに対処する上で貴重な支援を提供することができる。

医師による死の幇助

医師による死の幇助(かつての自殺幇助)とは,自らの人生を終わらせることを望む人に対して医師が行う補助を指す。これについては議論があるが,米国では9つの州(カリフォルニア州,コロラド州,ハワイ州,メイン州,モンタナ州,ニュージャージー州,オレゴン州,バーモント州,ワシントン州)とコロンビア特別区において合法とされており,医師による死の幇助が合法とされる全ての州には,適格性の要件や報告要件(例,患者に精神的能力があり,かつ末期疾患に罹患しており,期待余命が6カ月未満でなければならない)など,当事者となる患者および医師に向けたガイドラインが整備されている。自発的安楽死は,オランダ,ベルギー,コロンビア,およびルクセンブルグでは合法である。自殺幇助は,スイス,ドイツ,およびカナダでは合法である。

医師による自殺幇助(または死の幇助)では,患者が自ら選択した時点で患者が致死的な手段を利用できるようにする。自発的積極的安楽死では,患者の要望を実行に移す上で医師が積極的な役割を果たし,通常は致死的な薬物の静脈内投与を行う。

医師による死の幇助の利用可能性には制約が設けられているが,疼痛を伴い消耗性で根治不能の疾患を有する患者は,医師との間で死の幇助に関する話合いを始めることがある。

医師による死の幇助は,医師にとって困難な倫理的問題となることがある。

自殺行動についてのより詳細な情報

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