短期精神病性障害

執筆者:Carol Tamminga, MD, UT Southwestern Medical Dallas
レビュー/改訂 2020年 5月
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    短期精神病性障害は,持続期間が1日以上かつ1カ月未満の妄想,幻覚,または他の精神病症状から成り,最終的に病前の正常な機能状態に回復する。

    短期精神病性障害はまれである。既存のパーソナリティ障害(例,妄想性,演技性,自己愛性,統合失調型,境界性)のほか,特定の医学的状況(例,全身性エリテマトーデス,ステロイドの摂取)が発症の素因となる。重大なストレス因(愛する人の喪失など)は本疾患の誘因となることがある。

    本障害の患者では,1カ月未満の間に以下の精神病症状が少なくとも1つ現れる:

    • 妄想

    • 幻覚

    • まとまりのない発語

    • 非常にまとまりのない行動または緊張病性の行動

    精神病性気分障害,統合失調感情障害,統合失調症,身体疾患,または薬物の有害作用(治療薬またはレクリエーショナルドラッグ)と捉えた方が,上述の症状をより適切に説明できる場合は,短期精神病性障害とは診断されない。

    精神病症状の既往がない患者において,短期精神病性障害と統合失調症の鑑別は,症状の持続期間に基づく;持続期間が1カ月を超える場合は,短期精神病性障害に必要な診断基準を満たしていない。

    短期精神病性障害の治療法は,統合失調症の急性増悪時の治療と同様であり,指導と抗精神病薬による短期治療が必要になる場合がある。

    再発がよくみられるが,典型的には各病相間の機能は良好に維持され,症状はほとんどまたは全くない。

    統合失調症および関連障害群に関する序論も参照のこと。)

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