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社交恐怖症

(社交不安症)

執筆者:

John W. Barnhill

, MD, New York-Presbyterian Hospital

レビュー/改訂 2020年 4月
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社交恐怖症は,何かを実施する特定の対人場面に曝露することに関する恐怖および不安である。それらの状況は回避されるか,耐えるのに強い不安を伴う。

恐怖症は 不安症 不安症の概要 恐怖や不安は誰もが日常的に経験するものである。 恐怖とは,直ちに認識可能な外部からの脅威(例,侵入者,凍結した路面でスピンする車)に対する情動的,身体的,および行動的な反応である。 不安とは,神経過敏や心配事による苦痛で不快な感情状態であり,その原因はあまり明確ではない。脅威が生じる厳密な時期と不安との間に強い結びつきはなく,不安は脅威の... さらに読む の一種で,特定の状況または対象によって恐怖と不安が生じることで,患者はそれらを回避するようになる。その恐怖と不安は,実際の脅威とは(患者が置かれている社会的な状況を考慮しても)釣り合わない。 限局性恐怖症 限局性恐怖症 限局性恐怖症は,特定の状況,環境,または対象に対する持続的で不合理な強い恐怖(恐怖症)から成る。その恐怖により不安および回避が誘発される。恐怖症の原因は不明である。恐怖症は病歴に基づいて診断される。治療は主に曝露療法による。 ( 不安症の概要も参照のこと。) 限局性恐怖症とは,特定の状況または対象に対して,実際の危険やリスクとは釣り合わない強い恐怖や不安を覚える状態である( よくみられる恐怖症の表を参照)。通常,その状況または対象は可能... さらに読む には多くの種類がある。

社交恐怖症患者が抱く恐怖および不安は,他者の期待に沿えなかったり,対人的な交流場面において他者から注目を受けた場合などに,恥をかいたり,軽蔑されたりするのではないかという点に焦点が置かれている場合が多い。しばしば生じる懸念としては,患者の不安が発汗,赤面,嘔吐,もしくは震え(ときに声の震え)を介して,自分の不安が他者に明らかになるのではないか,または考えをまとめる能力や自分の考えを表現する言葉を見出す能力を喪失するのではないかという点である。通常,同じ活動を1人で行った場合に不安は生じない。

社交恐怖症がよく起こる状況としては,人前でのスピーチ,芝居,および楽器の演奏などがある。他に起こりうる状況としては,他者との食事,初対面の人と会うこと,会話,証人の前での署名,または公衆トイレの使用などがある。より全般的なタイプの社交恐怖症では,様々な対人場面が不安の原因となる。

大半の患者は,自身の恐怖が不合理で,過剰であることを認識している。

社交恐怖症の診断

  • 臨床基準

診断はDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition(DSM-5)の基準に基づいて臨床的に行う。

DSM-5の診断基準を満たすには,患者に以下がみられる必要がある:

  • 他者から注目を受ける可能性がある1つまたは複数の対人場面に関する,著明かつ持続的(6カ月以上)な恐怖または不安

恐怖には,他者による否定的評価(例,患者が屈辱を感じる,恥をかく,もしくは拒否される,または他者の気分を害する)が関連している必要がある。さらに,以下の全てが認められる必要がある:

  • 同じ対人場面は,ほとんど常に恐怖または不安を引き起こす。

  • 患者がその状況を意図的に回避している。

  • 恐怖または不安が現実的な恐れと(社会文化的な背景を考慮しても)釣り合わない。

  • 恐怖,不安,および/または回避が,著しい苦痛を引き起こしているか,または社会的もしくは職業的機能を著しく損なっている。

また,その恐怖および不安は,他の精神障害(例, 広場恐怖症 広場恐怖症 広場恐怖症とは,強い不安が生じた場合に容易に逃げる方法がなく,助けも得られない可能性がある状況または場所にいることに対して恐怖や不安を抱く状態である。 ( 不安症の概要も参照のこと。) それらの状況は回避されるか,または耐えるためには強い不安を伴う。広場恐怖症患者の約30~50%は パニック症も併発している。 パニック症を伴わない広場恐怖症は,12カ月間で約2%の女性および1%の男性が罹患している。発症年齢のピークは20代前半であり,4... さらに読む パニック症 パニック発作およびパニック症 パニック発作は,身体症状および/または認知面での症状を伴う強い不快感,不安,または恐怖が,突然に,個別に,短時間発現する現象である。パニック症は,パニック発作が繰り返し発生し,典型的にはそれに付随して,将来の発作に対する恐怖,または発作を起こしやすいと考えられる状況を回避しようとする行動の変化が生じる。診断は臨床的に行う。個々のパニック発作は治療を要さないこともある。パニック症は薬物療法,精神療法(例,曝露療法,認知行動療法),またはそ... さらに読む 醜形恐怖症 醜形恐怖症 醜形恐怖症は,他者には明らかではないか軽微にしか見えないが本人は重大と認識している1つまたは複数の身体的欠陥にとらわれることを特徴とする。この外見についてのとらわれは,臨床的に意味のある苦痛または社会的,職業的,学業的,その他の機能面に障害を引き起こすものでなければならない。さらに,本障害の経過中のある時点において,外見へのとらわれに対する反応として,1つ以上の反復行動(例,鏡での確認,自分の外見と他人の外見の比較)が反復的かつ過剰に行... さらに読む )とみなすことで,より正確に特徴づけられるというわけではない。

恐怖症の概要
動画

社交恐怖症の治療

  • 認知行動療法

  • ときに選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

ほとんど常に社交恐怖症は慢性に経過し,治療を必要とする。

SSRI 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI) うつ病の治療には,いくつかの薬物クラスおよび薬物が使用できる: 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI) セロトニン調節薬(5-HT2遮断薬) セロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 ノルアドレナリン-ドパミン再取り込み阻害薬 さらに読む およびベンゾジアゼピン系薬剤は社交恐怖症に効果的であるが,ベンゾジアゼピン系薬剤は身体依存を生じる可能性があり,また認知行動療法の成功に必要な能力である思考力や記憶力を低下させる場合もある。

β遮断薬を使用して,人前での行為に苦痛を覚える患者の心拍数上昇,震え,発汗を抑えることがあるが,この種の薬剤は不安自体を軽減するものではない。

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