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特発性器質化肺炎

(閉塞性細気管支炎・器質化肺炎)

執筆者:

Joyce Lee

, MD, MAS, University of Colorado School of Medicine

レビュー/改訂 2019年 9月
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特発性器質化肺炎は,隣接する肺胞に生じた慢性炎症により,肉芽組織が肺胞管および肺胞腔を閉塞する特発性の疾患である。

約半数の患者は,疾患発症時に 市中肺炎 市中肺炎 市中肺炎(Community-acquired pneumonia)は,病院の外で獲得した肺炎と定義されている。同定される頻度が最も高い病原体は,肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae),インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae),非定型細菌(すなわち,肺炎クラミジア[Chlamydia pneumoniae],肺炎マイコプラズマ[Mycoplas... さらに読む 市中肺炎 に似た病態(すなわち,咳嗽,発熱,倦怠感,疲労および体重減少を特徴とするインフルエンザ様の病態が消退しないこと)を経験したことを記憶している。進行性の咳嗽および労作時呼吸困難が,通常医療機関を受診するきっかけとなる。

胸部の診察では,吸気時の捻髪音(ベロクロラ音)が聴取される。

特発性器質化肺炎の診断

  • 高分解能CT(HRCT)

  • ときに肺生検

特発性器質化肺炎の診断には画像検査が必要であり,診断の明確化に必要な場合は外科的肺生検を行う。

肺のHRCTでは,斑状の気腔のコンソリデーション(浸潤影)(90%以上の患者でみられる),すりガラス陰影,小結節状陰影,ならびに気管支壁の肥厚および拡張がみられる。斑状陰影は末梢肺野でより頻度が高く,しばしば下肺野にみられる。HRCTは,胸部X線の読影から予測されるものよりも,はるかに広範な疾患を示すことがある。

肺機能検査は通常は拘束性障害を示すが,患者の21%で閉塞性障害(努力肺活量に対する1秒量の比[FEV1/FVC]が < 70%)が認められ,また場合によっては肺機能が正常なこともある。

ルーチンの臨床検査の結果は非特異的である。好酸球の増加を伴わない白血球増多は約半数の患者で起こる。初期の赤血球沈降速度(赤沈)はしばしば亢進する。

肺生検(外科的または経気管支)では,末梢気道および肺胞管内に肉芽組織の過剰増殖がみられ,周辺の肺胞に慢性炎症を伴う。器質化肺炎の病巣は非特異的で,感染,血管炎, リンパ腫 リンパ腫の概要 リンパ腫は,網内系およびリンパ系から発生する不均一な一群の腫瘍である。ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別される( ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の比較の表を参照)。 リンパ腫はかつて, 白血病とは全く異なる疾患と考えられていた。しかし現在では,細胞マーカーとそれらのマーカーを評価するツールについて理解が深まったことで,これら... さらに読む ,およびその他の間質性肺疾患(特発性肺線維症 特発性肺線維症 特発性肺線維症(IPF)は,特発性間質性肺炎の最も頻度の高い型であり,進行性の肺線維症を引き起こす。症状および徴候は数カ月から数年にわたって発現し,労作時呼吸困難,咳嗽,および捻髪音(ベルクロラ音)などがある。診断は病歴,身体診察,高分解能CTに基づき,必要があれば肺生検を行う。治療法としては抗線維化薬や酸素療法などがある。ほとんどの患者は悪化し,生存期間の中央値は診断から約3年である。... さらに読む 特発性肺線維症 非特異性間質性肺炎 非特異性間質性肺炎 非特異性間質性肺炎は,主に女性,非喫煙者,および < 50歳の患者に生じる特発性間質性肺炎である。患者には咳嗽および呼吸困難がみられ,それが数カ月から数年間持続することがある。診断は,高分解能CTおよび肺生検による。治療にはコルチコステロイドのほか,ときに他の免疫抑制療法を使用する。 非特異性間質性肺炎(NSIP)は 特発性間質性肺炎の一種である。これは 特発性肺線維症(IPF)に比べてはるかにまれである。患者の多くは女性であり,... さらに読む 非特異性間質性肺炎 ,結合組織疾患に伴う間質性肺炎, 薬剤性肺障害 薬剤性肺障害 薬剤性肺障害は,単一の疾患というよりもむしろ臨床全般に及ぶ問題であり,肺疾患の既往がない患者が薬物療法に関連して,呼吸器症状,胸部X線の変化,肺機能の悪化,組織学的変化,またはこれらのうち複数の組合せを発現する病態である。150を超える薬物または薬物の種類が肺疾患を引き起こすことが報告されている;その機序はあまり分かっていないが,多くの薬物が 過敏反応を引き起こすと考えられている。薬剤の中には,患者によって異なる傷害パターンを引き起こす... さらに読む 過敏性肺炎 過敏性肺炎 過敏性肺炎は,環境性(しばしば職業性)抗原への感作および続発する過敏反応により引き起こされる咳嗽,呼吸困難,および疲労から成る症候群である。急性,亜急性,および慢性の形態が存在する;全てが急性の間質性炎症,ならびに長期曝露に伴う肉芽腫および線維化の発生を特徴とする。診断は病歴,身体診察,画像検査,気管支肺胞洗浄,および生検の組合せに基づく。短期治療はコルチコステロイドにより行う;長期治療は抗原回避であり,線維化がある場合はしばしば免疫抑... さらに読む 過敏性肺炎 ,および 慢性好酸球性肺炎 慢性好酸球性肺炎 慢性好酸球性肺炎(CEP)は,肺における好酸球の慢性的かつ異常な集積を特徴とする,原因不明の疾患である。 ( 好酸球性肺疾患の概要も参照のこと。) 慢性好酸球性肺炎は実際は慢性というわけではない;むしろ,再発性の急性または亜急性疾患である(そのため,再発性好酸球性肺炎という名称の方がふさわしい)。慢性好酸球性肺炎の有病率および発生率は不明である。病因として アレルギー体質が疑われている。ほとんどの患者は非喫煙者である。... さらに読む など)などの他の病理過程に続発して生じうる。

特発性器質化肺炎の治療

  • コルチコステロイド

特発性器質化肺炎は,コルチコステロイドによる治療を受けた患者の多くで,臨床的回復がしばしば2週間以内にみられる。

特発性器質化肺炎の再発は患者の最大50%にみられる。再発は治療期間に関連すると考えられるため,治療は通常6カ月から12カ月行われるべきである。再発例は一般にコルチコステロイドによる追加治療に反応する。

HRCT上でCOPが肺実質のコンソリデーション(浸潤影),すりガラス陰影,または結節としてみられる場合,治療すれば回復する頻度は高い。対照的に,HRCT上でCOPが線状および網状陰影としてみられる場合,回復する頻度は比較的低い。

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