単独の精巣炎(すなわち,精巣に限局した感染症)はほぼ常にウイルスに起因し,ほとんどの症例で原因はムンプスである。まれな原因として,先天梅毒,結核,ハンセン病,エコーウイルス感染症,リンパ球性脈絡髄膜炎,コクサッキーウイルス感染症,伝染性単核球症,水痘,B群アルボウイルス感染症などがある。大半の細菌性精巣炎は,重度の細菌性 精巣上体炎 精巣上体炎 精巣上体炎は精巣上体の炎症で,ときとして精巣の炎症を伴う(精巣精巣上体炎)。陰嚢の疼痛および腫脹が通常は片側性に生じる。診断は身体診察に基づく。治療は抗菌薬,鎮痛薬,および陰嚢サポーターによる。 大半の精巣上体炎(および精巣精巣上体炎)は細菌感染によって引き起こされる。炎症が精管に及べば,精管炎となる。また全ての精索構造が侵されれば,診断は精索炎となる。まれに精巣上体膿瘍,陰嚢の精巣上体外部の膿瘍,膿瘤(陰嚢水腫内での膿の蓄積),精巣梗... さらに読む が精巣に進展した結果(精巣精巣上体炎)である。
男性のムンプス患者の20~25%が精巣炎を発症し,症例の80%は10歳未満の患者で発生する。全症例の3分の2が片側性で,3分の1が両側性である。ムンプス精巣炎患者の60%では,少なくとも片側の精巣で精巣萎縮が発生する。萎縮は妊孕性や精巣炎の重症度とは関係しない。腫瘍の発生率が上昇することはないようであるが,片側性のムンプス精巣炎を発症した男性の4分の1と両側性のムンプス精巣炎を発症した男性の3分の2で妊孕性が低下する。
症状と徴候
片側性のムンプス精巣炎は,ムンプスの耳下腺腫脹後の4~7日間に急性に発生する。本疾患は全症例の30%で1~9日以内に対側の精巣に伝播する。疼痛の重症度は様々である。精巣の疼痛および腫脹に加え,倦怠感,発熱,悪心,頭痛,筋肉痛などの全身症状が出現することがある。精巣の診察では,精巣の圧痛,腫大,および硬結と陰嚢皮膚の浮腫および紅斑が認められる。
他の感染性病原体は,その病原性に応じた速度および強度で,同様の症状を引き起こす。
診断
臨床的評価および選択的検査
急性陰嚢症の他の原因を除外するためのカラードプラ超音波検査
精巣炎の診断は通常,病歴と身体所見から示唆される。精巣炎と 精巣捻転 精巣捻転 精巣捻転とは,精巣が回転して絞扼が起きる結果,血液供給が遮断されることで生じる,緊急を要する病態である。症状は陰嚢の急性疼痛および腫脹と悪心および嘔吐である。診断は身体診察に基づき,カラードプラ超音波検査により確定される。治療は即時の用手的整復とその後の外科的介入である。 精巣鞘膜および精索の発生異常によって,精巣鞘膜への精巣の固定が不完全になることがある(bell-clapper変形―... さらに読む や陰嚢の急性腫脹および疼痛を引き起こす他の原因との鑑別は,カラードプラ超音波検査で迅速に可能である。
ムンプスは血清蛍光抗体検査で確認できる。他の感染性病原体は,尿培養または血清学的検査で同定できることがある。
治療
鎮痛法
細菌感染の場合は抗菌薬
細菌感染が除外されている場合は,鎮痛薬と温罨法または冷罨法による支持療法で十分である。細菌感染症(通常は精巣精巣上体炎を引き起こす)は適切な 抗菌薬 治療 精巣上体炎は精巣上体の炎症で,ときとして精巣の炎症を伴う(精巣精巣上体炎)。陰嚢の疼痛および腫脹が通常は片側性に生じる。診断は身体診察に基づく。治療は抗菌薬,鎮痛薬,および陰嚢サポーターによる。 大半の精巣上体炎(および精巣精巣上体炎)は細菌感染によって引き起こされる。炎症が精管に及べば,精管炎となる。また全ての精索構造が侵されれば,診断は精索炎となる。まれに精巣上体膿瘍,陰嚢の精巣上体外部の膿瘍,膿瘤(陰嚢水腫内での膿の蓄積),精巣梗... さらに読む で治療する。
泌尿器科によるフォローアップが推奨される。