(嚢胞性腎疾患の概要 嚢胞性腎疾患の概要 嚢胞性腎疾患には,先天性のものと後天性のものがある。先天性のものは,常染色体優性または常染色体劣性遺伝疾患として遺伝する場合と,他の原因(例,散発性の遺伝子変異,染色体異常,催奇形因子)を有する場合がある。奇形症候群( 嚢胞性腎疾患の分類の表を参照)の部分症として生じる場合もある。 さらに読む も参照のこと。)
髄質海綿腎の原因は不明であるが,5%未満の症例では遺伝がみられる。
大半の患者では症状がみられず,通常は診断に至らない。結石形成(しばしば尿中カルシウム排泄量の増加を伴う)および 尿路感染症 尿路感染症 (UTI) に関する序論 尿路感染症(UTI)は,腎臓( 腎盂腎炎)が侵される上部尿路感染症と,膀胱( 膀胱炎),尿道( 尿道炎),および前立腺( 前立腺炎)が侵される下部尿路感染症に分類される。しかしながら,実際には(特に小児では)感染部位の鑑別が困難または不可能な場合もある。さらに,感染はしばしば1つの領域から別の領域へと拡大する。尿道炎と前立腺炎も尿路が侵さ... さらに読む (UTI)の素因であり,そのため頻度の高い主症状は以下のものである:
腎仙痛
髄質海綿腎は良性であり,長期予後は良好である。 腎結石 尿路結石 尿路結石とは,泌尿器系内に存在する固形の粒子のことである。結石は疼痛,悪心,嘔吐,および血尿を引き起こすことがあるほか,続発性の感染から悪寒および発熱がみられることもある。診断は尿検査および放射線学的検査のほか,通常は単純ヘリカルCTに基づく。治療は鎮痛薬,感染に対する抗菌薬療法,および薬剤による排石促進療法のほか,ときに衝撃波砕石術また... さらに読む による閉塞が一時的な糸球体濾過量(GFR)低下および血清クレアチニン上昇をもたらす場合がある。
診断
CTまたは排泄性尿路造影(IVU)
診断は,再発性結石またはUTIを呈する患者で疑われるか,髄質性腎石灰化症や造影剤が充満した集合管の拡張などの偶然検出されたX線所見に基づく。症候性多尿を呈していない患者では,尿検査により典型的には不完全な遠位 尿細管性アシドーシス 尿細管性アシドーシス 尿細管性アシドーシス(RTA)は,腎臓における水素イオンの排泄障害(1型),重炭酸塩の再吸収障害(2型),またはアルドステロンの産生もしくは反応の異常(4型)によってアシドーシスと電解質異常が生じる病態である。(3型は極めてまれであるため,ここでは考察しない。)無症状の場合もあれば,電解質異常の症候を呈する場合や,慢性腎臓病に進行する場合もある。診断は,誘発試験に反応した尿pHおよび電解質の特徴的な変化に基づく。治療はpHおよび電解質平... さらに読む (顕性の代謝性アシドーシスはまれ)と尿濃縮能低下の所見が認められる。
診断は一般的にCTにより確定されるが,IVUも使用しうる。嚢胞は小さく,髄質の深部にあるため,超音波検査は助けとならない。
治療
合併症(例,UTI,腎結石)の管理
治療は UTI 尿路感染症 (UTI) に関する序論 尿路感染症(UTI)は,腎臓( 腎盂腎炎)が侵される上部尿路感染症と,膀胱( 膀胱炎),尿道( 尿道炎),および前立腺( 前立腺炎)が侵される下部尿路感染症に分類される。しかしながら,実際には(特に小児では)感染部位の鑑別が困難または不可能な場合もある。さらに,感染はしばしば1つの領域から別の領域へと拡大する。尿道炎と前立腺炎も尿路が侵さ... さらに読む および再発性の 結石形成 尿路結石 尿路結石とは,泌尿器系内に存在する固形の粒子のことである。結石は疼痛,悪心,嘔吐,および血尿を引き起こすことがあるほか,続発性の感染から悪寒および発熱がみられることもある。診断は尿検査および放射線学的検査のほか,通常は単純ヘリカルCTに基づく。治療は鎮痛薬,感染に対する抗菌薬療法,および薬剤による排石促進療法のほか,ときに衝撃波砕石術また... さらに読む のみに適応となる。サイアザイド系利尿薬(例,ヒドロクロロチアジド25mg,経口,1日1回)と大量の水分摂取は,尿中カルシウム排泄量を低下させ,尿停滞を予防することにより,結石形成を阻害する可能性がある。これらの作用は,再発性結石を呈する患者において閉塞性合併症の発生率を低下させる可能性がある。