AIDS胆管障害

執筆者:Christina C. Lindenmeyer, MD, Cleveland Clinic
レビュー/改訂 2020年 3月
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AIDS胆管障害(AIDS cholangiopathy)は,様々な日和見感染症によって引き起こされる胆道狭窄に続発する胆道閉塞である。

胆道機能の概要も参照のこと。)

抗レトロウイルス療法が確立される以前は,AIDS患者の25%で胆管障害が発生し,特にCD4陽性細胞数が低い(100/μL未満)患者では非常に多くみられていた。最も一般的な病原体はCryptosporidium parvumである。その他にも,サイトメガロウイルス微胞子虫類Cyclospora属原虫などがある。ほとんどの患者で,乳頭部狭窄や肝内または肝外の硬化性胆管炎が発生する。半数以上の患者では両方が発生する。

一般的な症状としては,右上腹部痛,心窩部痛,下痢などがある。少数の患者では発熱と黄疸がみられる。通常,重度の疼痛は乳頭部狭窄を示唆する。より軽度の疼痛は硬化性胆管炎を示唆する。下痢は小腸感染を反映し,クリプトスポリジウム症が多い。

AIDS胆管障害の診断

  • 通常は超音波検査およびERCP

画像検査は通常,非侵襲的で非常に精度の高い(95%以上)超音波検査から始める。しかし,通常はERCPが必要となる。ERCPでは確定診断が可能であり,同時に病原体を同定するための小腸生検を施行できるほか,狭窄を軽減するための治療機会にもなる。CTおよび磁気共鳴胆道膵管造影は補助的な役割を果たせる可能性が高い。

肝機能検査での異常(特にアルカリホスファターゼ値の上昇)は胆汁うっ滞と一致する。

AIDS胆管障害の治療

  • 内視鏡的処置

内視鏡的乳頭括約筋切開術は,ERCPの施行中に行われることが多く,乳頭部狭窄のある患者では疼痛,黄疸,および胆管炎を大きく軽減することができる。単独または優位な狭窄には,内視鏡下でステントを留置することができる。感染症治療のために抗菌薬療法を行うが,それ単独では胆道傷害の軽減や症状の緩和は望めない。

原発性硬化性胆管炎で使用されていることから,ウルソデオキシコール酸は肝内胆管硬化症と胆汁うっ滞の治療で一定の役割を果たす可能性がある。

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