下部食道輪

(Schatzki輪;B輪)

執筆者:Kristle Lee Lynch, MD, Perelman School of Medicine at The University of Pennsylvania
レビュー/改訂 2020年 9月
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    下部食道輪は2~4mmの粘膜狭窄であり,扁平円柱上皮接合部で下部食道の輪状狭小化を引き起こし,これがしばしば嚥下困難の原因となる。

    食道疾患および嚥下障害の概要も参照のこと。)

    下部食道輪の病因には議論があるが,主な仮説としては,先天性,酸逆流症,薬剤性食道炎説などが想定されている。

    食道輪により間欠的に固形物の嚥下困難が引き起こされる。発症はいずれの年齢でもみられるが,通常は25歳以降までみられない。嚥下困難の症状は出現と消失を繰り返し,特に肉や乾燥したパンを摂食する際に悪化する。症状は通常,食道腔の内径が12mm未満になった場合にのみ出現し,20mm以上では認められない。

    嚥下困難の評価は典型的には上部消化管内視鏡検査から開始し,そこで症状を引き起こすのに十分な大きさの輪が確認されるはずである。下部食道が十分に拡張すれば,通常はバリウムによるX線撮影でも輪が描出される。

    比較的広い輪に対しては,通常は患者に食物を徹底的に噛むよう指導することが唯一必要な治療となるが,内腔の狭い輪には内視鏡検査またはブジー操作による拡張が必要である。外科的切除が必要になることはまれである。

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