胃切除後胃炎

執筆者:Nimish Vakil, MD, University of Wisconsin School of Medicine and Public Health
レビュー/改訂 2020年 1月
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    胃切除後胃炎は,胃部分切除術または胃亜全摘術の施行後に胃に炎症が生じる病態である(ガストリノーマの症例は除く)。慢性炎症から萎縮に至ることもある。

    残存する胃体部粘膜の化生がよくみられる。胃炎の程度は通常吻合部で最も重症である。

    複数の機序が原因である:

    • 胆汁逆流は,これらの外科手術後によくみられ,胃粘膜を損傷する。

    • 前庭部のガストリン消失によって壁細胞および消化細胞の刺激が低下し,萎縮が生じる。

    • 迷走神経切断により迷走神経の栄養作用が消失しうる。

    胃炎の特異的症状はない。胃切除後胃炎はしばしば重度の萎縮に進行し,無酸症を呈する。内因子の分泌が止まることがあり,結果としてビタミンB12欠乏が生じる(輸入脚における細菌異常増殖により悪化することがある)。胃腺癌の相対リスクは,胃部分切除術から15~20年後に増加するようであるが,胃切除後胃癌の絶対発生率は低いため,内視鏡検査によるルーチンのサーベイランスはおそらく費用対効果が高くないものの,この状況で上部消化管症状または貧血がみられた場合には速やかに内視鏡検査を施行すべきである。

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