母体死亡と周産期死亡

執筆者:Raul Artal-Mittelmark, MD, Saint Louis University School of Medicine
レビュー/改訂 2022年 9月
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    母体死亡

    母体死亡とは、妊娠および分娩の合併症による死亡のことをいいます。

    米国では2020年に、分娩10万件当たり約24人の女性が死亡しています。米国の母体死亡率は、欧州の国々よりも高くなっています。

    とはいえ、母体死亡数が最も多いのは医療などの資源が少ない国です。最も死亡率が高いのはサハラ以南アフリカ(ナイジェリアを含む)と南アジア(インドを含む)です。

    このグラフは、各国の母体死亡率を比較したものです。

    母体死亡とは、妊娠に関連する問題が原因で、妊娠中、または分娩直後に死亡した女性の数です。

    母体死亡率とは、出生(生存している胎児の分娩)10万件当たりのこのような死亡の数です。

    以下の情報は世界保健機関(WHO)、UNICEF、国連人口基金、世界銀行、WHOの母体死亡率の傾向に関する資料(2000~2017年: WHO, ジュネーブ, 2019年発表)からのデータに基づきます。

    世界的には、母体死亡率は人種や民族によって大きく異なります。

    米国における母体死亡率は以下の通りです。

    • 非ヒスパニック系黒人女性では分娩10万件当たり約55人

    • 非ヒスパニック系白人女性では分娩10万件当たり約19人

    • ヒスパニック系女性では分娩10万件当たり約18人

    ブラジルでは、アフリカ系の女性の母体死亡率は白人女性の約5倍です。英国では、白人女性に比べて黒人女性の方が高くなっています。

    母体死亡のタイミングとその割合を世界全体でみてみると、次のようになります。

    • 分娩前:25%

    • 陣痛中または分娩中および分娩直後:25%

    • 分娩後:約30%

    • 分娩から42日以上1年未満:約20%

    妊婦における死亡の最も一般的な原因は以下のものです。

    妊婦の死亡の一因となる問題には以下のものがあります。

    • 妊婦に問題がある場合に、本人とその家族が医療機関の受診を遅らせる。

    • 妊婦に医療施設への交通手段がない。

    • 医療施設での治療が遅れる。

    母体死亡の約5件に3件は防ぐことができるものです。

    周産期死亡

    周産期死亡とは、分娩の前後の時期における胎児および新生児の死亡です。2019年の米国での周産期死亡率は分娩1000件当たりおよそ6件です。

    周産期死亡率は人種や民族によって異なります。

    • 非ヒスパニック系白人の女児では1000件当たりおよそ5人

    • 非ヒスパニック系黒人の女児では1000件当たりおよそ10人

    • ヒスパニック系の女児では1000件当たりおよそ5人

    胎児および新生児の死亡の最も一般的な原因は以下のものです。

    胎児や新生児の死亡リスクを増大させる母親の特徴には、平均よりはるかに若年か高齢であること、喫煙(過去または現在)、および数回の妊娠歴などがあります。

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