主な原因は自動車の衝突や頭部の強打です。
症状は軽症または重症の頭部外傷と同じです。
CT検査を行います。
入院して経過を観察します。場合によっては手術が必要です。
脳挫傷と脳裂傷は脳の構造が損傷を受けるため、 脳しんとう 脳しんとう 脳しんとうとは、頭部外傷による精神機能または意識レベルの変化をいいます。脳しんとうでは、意識が消失する場合もありますが、脳の構造に明らかな損傷はみられず、6時間以内に治まります。 ( スポーツ関連脳しんとうと 頭部外傷の概要も参照のこと。) 脳しんとうでは、CT検査やMRI検査などの画像検査で脳の損傷が検出されないにもかかわらず、脳細胞が一時的に傷ついたり機能障害に陥ったります。患者には一時的に脳機能障害の症状がみられます。... さらに読む よりも深刻です(脳しんとうは脳の構造に明らかな損傷を引き起こさない外傷が原因で起こる、精神機能または意識レベルの変化です)。
脳挫傷は、強く殴られるなどの衝撃で脳が頭蓋骨に対して急に動いたり(加速)、あるいは自動車の正面衝突事故などのように、頭が動いているときに固定したもの(車のダッシュボードやハンドルなど)にぶつかって急に止まったり(減速)することで起こります。脳は衝撃を受けた部位で損傷を受けるほか、その反対側も頭蓋内面にぶつかり、そちらも損傷を受けることがあります。脳挫傷は、外傷後数時間から数日かけて拡大し、脳機能の低下をもたらすことがあります。
脳裂傷は、物体または骨片が頭蓋骨を貫通し(頭蓋骨骨折 頭蓋骨骨折 頭蓋骨骨折とは、脳を取り囲む骨が折れることです。 頭蓋骨骨折では、脳の損傷が起こる場合と起こらない場合があります。 痛みや脳損傷の症状が出ます。場合によっては、鼻や耳から液体が漏出したり、耳の後ろや眼の周囲にあざが出たりすることもあります。 頭蓋骨骨折の診断にはCT検査が用いられます。 頭蓋骨骨折の多くは治療の必要がありません。 さらに読む を引き起こします)、脳組織を引き裂くことで発生します。
脳挫傷や脳裂傷は脳の出血や腫れを引き起こします。
挫傷や裂傷が非常に小さければ、脳へのダメージはごくわずかで、症状がほとんど現れないか、または軽症の頭部外傷の症状が生じます。しかし、損傷が大きい場合や、損傷自体は小さくても出血や腫れがひどい場合には、 重症の頭部外傷 重症の頭部外傷 脳が関与する頭部外傷は特に懸念されます。 頭部外傷の一般的な原因には、転倒や転落、自動車事故、暴行、スポーツやレクリエーション活動中の事故などがあります。 軽症の頭部外傷では頭痛やめまいが起こることがあります。 重症の頭部外傷では、意識を失ったり、脳機能障害の症状が現れたりすることがあります。... さらに読む の症状が現れることがあります。例えば、意識消失が一時的(2~3分間程度)に生じたり、長時間持続したりすることがよくあります。意識が戻ると、しばしば眠気や錯乱、落ち着きのなさ、興奮がみられます。嘔吐やけいれん発作が起きたり、平衡感覚や協調運動が損なわれたりすることもあります。思考能力、感情のコントロール、運動、感覚、言語、視覚、聴覚、嗅覚、記憶などに障害が現れることもあります。重症の場合は、脳の内部で腫れが起こり、脳組織の損傷が進行します。 脳ヘルニア ヘルニア:脳の圧迫 が生じて、 昏睡 昏迷と昏睡 昏迷とは、反応がなく、激しい物理的な刺激によってのみ覚醒させることができる状態です。昏睡とは、反応がなく、覚醒させることができず、刺激を受けても眼は閉じたままになっている状態です。 昏迷や昏睡の原因は通常、脳の左右両側の広い領域または意識の維持に特化した領域に影響を及ぼす病気、薬、またはけがです。 身体診察、血液検査、脳の画像検査、家族や友人への問診は、原因を特定する上での助けになります。... さらに読む 状態に陥ることもあります。
脳挫傷や脳裂傷の診断にはCT検査を行います。
脳内の出血や腫れがわずかであれば、入院による経過観察を行い、通常は長くても1週間で退院できます。
出血がひどい場合は、 重症の頭部外傷 重症の頭部外傷 脳が関与する頭部外傷は特に懸念されます。 頭部外傷の一般的な原因には、転倒や転落、自動車事故、暴行、スポーツやレクリエーション活動中の事故などがあります。 軽症の頭部外傷では頭痛やめまいが起こることがあります。 重症の頭部外傷では、意識を失ったり、脳機能障害の症状が現れたりすることがあります。... さらに読む と同様の治療を行います。この場合、多くは集中治療室へ収容されます。血圧や血液中の酸素、二酸化炭素の濃度を適正なレベルに維持します。患者の呼吸を助けるために、医師はフェイスマスクから酸素を投与するか、口から気管に呼吸用のチューブを挿入し、それを 人工呼吸器 人工呼吸器 人工呼吸器は、肺への空気の出入りを補助するために用いる機械です。 呼吸不全の患者の一部は、人工呼吸器(肺に出入りする空気の流れを補助する機械)による呼吸の補助を必要とします。人工呼吸器によって命が助かることもあります。 人工呼吸器には、多くの使い方があります。通常は、合成樹脂製のチューブを鼻または口から気管に挿入します。人工呼吸器が数日以上必要な場合は、首の前側を小さく切開して(気管切開)、気管に直接チューブを通すこともあります。人工呼... さらに読む につなげます。
必要に応じて痛みの治療を行います。筋肉の活動が多すぎると脳内の圧を高め、脳機能にさらなる影響を与えることがあるため、鎮静薬を投与することもあります。発熱があれば解熱します。けいれん発作があれば、抗てんかん薬を投与します。
脳圧を測定するため、頭蓋内に圧力計を埋め込んだり、脳内のスペース(脳室)の1つにカテーテルを挿入したりすることもあります。
出血によってヘルニアが生じた場合は、脳の圧迫を防止するために手術で血液を除去することがあります。ただし、血液を除去する際に脳組織も切除した場合には、やがて脳機能に障害が出ることがあります。