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低体温症

執筆者: Daniel F. Danzl, MD, Professor and Chair, Department of Emergency Medicine, University of Louisville School of Medicine

低体温症は、危険なほど体温が低い状態です。

  • 特定の病気がある、動くことができないなどの事情がありながら、非常に寒い環境に身を置くと体温は低すぎるところまで下がります。

  • 最初は震えが起こりますが、その後、錯乱状態となり、意識を失います。

  • 体温が下がりきってしまう前に、暖をとり濡れた衣類を乾かすことができれば、回復します。

  • 体温が低くなりすぎたら、医師は温めた酸素を吸入したり、静脈から温めた輸液を入れたり、腹腔や胸腔に挿入したカテーテルを経由して注入したりして、体を温めます。また、体の外側からも熱を与えます。

低体温症は、体から失われる熱量が、(運動による)代謝で生成される熱量と、外部からの熱(日光や暖炉などの熱)の総和を上回った結果として起こります。冷たい地面に座わる、横たわる、水に漬かる、風にあたるといった条件が加わると、熱の損失が増加します。突然、非常に冷たい水につかると、5分から15分で致死的な低体温症が起こります。しかしながら、主に乳児や幼児など、少数ではありますが、1時間もの間、氷まじりの水に完全に沈んだまま生き延びたケースもあります。これはショックによってすべての身体機能が停止し、結果的に体を保護したためです。やや冷たい程度の水でも、長時間入っていると低体温症が起こりえます。

脳卒中やけいれん発作を起こしたり、中毒や、低血糖、外傷などにより意識不明になった人が、寒い場所に横たわったままでいると低体温症のリスクが高まります。寒い場所から移動できず、体を動かして熱を生成することもできないからです。このようなケースでは、周囲の気温が13~16℃程度でも低体温症になるおそれがあります。乳幼児や高齢者では、とりわけリスクが高くなります。なぜなら、これらの人たちは、若い成人ほど寒さへの適応力がなく、防寒対策を他者に依存しているからです。非常に高齢の人が寒い部屋で何時間もじっと座っていると、屋内で低体温症になることがよくあります。また乳児も体から熱を急速に失い、低体温症になりやすい傾向があります。流行中の感染症または甲状腺機能低下症などの病気は、低体温症を引き起こしたり、悪化させることがあります。

症状

最初の症状は体が激しく震え、歯がカチカチ鳴るなどです。体温がさらに下がると震えは止まり、動きが緩慢でぎこちなくなり、あらゆる反応に時間がかかり、思考がぼんやりして正常な判断ができなくなります。これらの症状は、きわめてゆっくり現れるので、本人も周囲の人も何が起こっているのかなかなか気がつきません。転んだり、ふらふらとさまよったり、休もうとして横になったりします。震えが止まったら、動作がますます鈍くなり、昏睡状態に陥ります。心拍や呼吸の速度は遅くなり弱くなります。そして、ついには心臓が停止します。

体温が低くなるほど、死亡のリスクは増大します。体温が31℃を下回ると死に至るおそれがありますが、死亡例の大半は体温が28℃を下回った場合です。

診断

医師は低体温症の診断には、直腸の体温を測るのが典型的です。従来型の体温計では、34℃未満の体温を測ることができません。したがって、重度の低体温症では、特別な体温計が必要となります。低体温症かどうかを見極めるために、血液検査などが行われます。

治療

低体温症の初期であれば、乾いた温かい衣類に着替えさせ、毛布でくるみ熱い飲みものを飲ませることで回復します。意識不明でみつかった場合は、体温がそれ以上失われることを防ぐため、可能であれば濡れた衣類を脱がせて、乾いた温かい毛布にくるみ、救急車の手配をして、暖かい場所で待つようにします。心肺蘇生(CPR)を病院外で行う場合は、以下のことを十分理解した場合にのみ推奨されます。

  • 訓練を受けていない人にとって、かすかな呼吸や脈拍を検知するのは難しいことです。

  • 脈が触れず、鼓動が聞こえなくても、心臓は動いていることがあります。鼓動している冷たくなった心臓に対して胸部圧迫を行うと、心臓のリズムが狂って、結果的に死につながることがあります。

  • 重度の低体温症の人を突然揺さぶると、不整脈を誘発し致死的になることもあるので、そっと扱わなくてはなりません。

病院では、温かい酸素を吸入させたり、温めた輸液を静脈から投与したり、腹腔や胸腔に挿入したカテーテルを通して注入したりして、体を温めます。さらに血液透析装置(血液を体外に取り出し、加温装置のついたフィルターを通過させて体内に戻す)や人工心肺装置(血液を体外に取り出して温め、酸素を加えて体内に戻す)を使って温めることもあります。

低体温症で病院に運ばれ、搬送時には生命が回復する徴候がみられなかった人でも、医師は患者の体が温まり、それでも生命反応がみられないと判定されるまでは、蘇生のための医療行為を続けます。所定の血液検査の結果がきわめて異常であったら、その人はすでに死亡していることがわかります。

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