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結核に似た他の感染症

(その他の抗酸菌感染症)

執筆者: Dylan Tierney, MD, MPH , Instructor; Associate Physician, Division of Global Health Equity, Harvard Medical School; Brigham and Women's Hospital
Edward A. Nardell, MD, Professor of Medicine and Global Health and Social Medicine; Associate Physician, Divisions of Global Health Equity and Pulmonary and Critical Care Medicine, Harvard Medical School; Brigham & Women's Hospital

抗酸菌(結核菌を含む細菌の仲間)には多くの種類がありますが、その多くが結核に似た症状の感染症を引き起こします。

最もよくみられるのがマイコバクテリウム・アビウム複合体(MAC)と呼ばれる細菌群です。これらの抗酸菌はどこにでもいますが、通常は以下に当てはまる人にのみ感染症を引き起こします。

  • フレイル(加齢に伴い筋力や心身の活力が低下した状態)な高齢者

  • 免疫系の機能が低下している人

  • 長年にわたる喫煙や過去の結核感染、気管支炎、肺気腫などの病気により肺が損傷されている人

MAC感染症は結核と同じく主に肺を侵しますが、リンパ節、骨、皮膚などの組織に広がることもあります。一方で、この病気は結核とは異なり、人から人にはうつりません。

肺感染症

肺のMAC感染症は、通常はゆっくりと発生します。最初の症状は、せきや粘液性のたんが出ることなどです。疲労や体重の減少、微熱がみられる人もいます。

この感染症はゆっくり進行する場合や、長期間安定し続ける場合があります。進行すると、頻繁に血を吐いたり(喀血)、呼吸困難が生じることがあります。

結核とMAC感染症を識別するには、感染者から採取したたんを検査室で分析する必要があります。

MAC感染症の治療では、多くの場合に薬剤耐性が問題になるため、複数の抗菌薬が組み合わせて使用されることがよくあります。頻繁に用いられるのは、クラリスロマイシンまたはアジスロマイシン、リファンピシン、エタンブトールという3種類の薬の組合せです。これらの薬は通常、12~18カ月服用します。この組合せが効果的でなければ、他の組合せが試されます。

広範囲の感染症

次の状態に該当する人では、MAC感染症が全身に広がることがあります。

  • エイズ患者

  • まれに、免疫機能を低下させる他の病気の患者

症状としては、発熱、貧血、血液疾患、下痢、腹痛などがみられます。

広範囲の感染症を診断するために、医師は通常、血液サンプルや、骨髄、肝臓、感染したリンパ節から採取した組織サンプルを用いて細菌を増殖させる検査(培養検査)を試みます。

これらの感染症は2~3種類の抗菌薬で治療し、多くはクラリスロマイシンまたはアジスロマイシンとエタンブトールとを組み合わせて投与し、ときにリファブチンも組み合わせます。

重症のエイズを患い、CD4陽性細胞数が100未満( CD4陽性細胞数)の人には、広範囲のMAC感染症を予防するためにクラリスロマイシンかアジスロマイシンを投与する必要があります。さらに、エイズを効果的に治療することが重要です。そうした治療は、感染に抵抗する免疫系の機能を向上させます。

リンパ節の感染症

小児(一般的には1~5歳)は、リンパ節のMAC感染症にかかることがあります。通常、抗酸菌で汚染された土や水を口に入れたり飲んだりすることにより感染します。

通常、この感染症の治療では抗菌薬は不要です。その代わり、感染したリンパ節を手術で切除することがあります。

皮膚の感染症

このほか、プールや家庭の水槽で繁殖するマイコバクテリウム・マリヌムなどの抗酸菌があり、皮膚に感染症を起こすことがあります。

赤みを帯びた隆起が現れ、大きくなり、紫色に変色することがあります。これらの多くは腕や膝に生じます。

皮膚の感染症は治療をしなくても治ることがあります。ただし慢性感染症が起きると、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、クラリスロマイシンなどの抗菌薬で3~6カ月治療する必要があります。

その他の感染症

マイコバクテリウム・ウルセランス感染症(ブルーリ潰瘍)は、ハンセン病や結核の後、免疫系の機能が正常な人に発生する、世界で3番目に多い抗酸菌症です。

最初に、脚、腕、顔面が腫れます。この腫れに痛みはなく、しこりが生じたり、さらに広範囲に及んだりすることがあります。腫れた部分の皮膚が破れてびらんになる場合や、皮膚やその下の組織が広く破壊される場合もあります。

この感染症は抗菌薬で治療し、手術もよく行われます。

また、別の種類の抗酸菌であるマイコバクテリウム・フォーチュイタムが、傷口や刺青、または人工心臓弁や乳房インプラントなどの体内に挿入した人工物に感染することがあります。通常は、抗菌薬による治療や手術による患部の切除で治癒します。