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身体化障害

執筆者: Katharine A. Phillips, MD, Professor of Psychiatry and Human Behavior, Butler Hosital and The Warren Alpert Medical School of Brown University

身体化障害は重度の慢性疾患で、身体疾患では説明しきれないさまざまな身体症状が繰り返し発生するのが特徴です。症状には、痛み、胃腸症状、性的症状、神経症状の組み合わせがあります。

  • 多くの症状(頭痛、吐き気、下痢、便秘、疲労感など)が、数年間にわたって現れるのが典型的です。

  • 身体的苦痛の治療を求める患者に対し、症状が身体疾患によるものではないことを確認するために多くの診察や検査が行われます。

  • 医師との支持的な信頼関係を築くことが非常に役立ちます。認知行動療法も有用となります。

身体化障害はしばしば家庭内に起こり、女性に多くみられます。身体化障害のある女性の男性親族は、反社会性人格( 反社会性パーソナリティ障害を参照)や物質関連障害の発症率が高い傾向にあります。身体化障害の患者には抑うつと不安、人格障害、他者への過剰依存などの症状もみられます( 依存性パーソナリティ障害を参照)。

知っていますか?

  • 身体化障害の患者は、症状があると装う(でっち上げる)ことはありません。

身体化障害にみられる身体症状は、助けてほしい、気にかけてほしいという訴えや、構ってもらいたいという欲求を反映していることがあります。また、大人としての責任から逃れたいなど、その他の目的から症状が現れることもあります。しかし、意図的に症状があるように見せかけたり、症状を装ったりしているのではありません。症状は不快な傾向にあり、患者は趣味やレジャーの多くを楽しむことができません。

症状

最初の症状は青年期から成人期初期(30歳前)にかけて現れます。患者はさまざま身体症状を訴え、「耐えられない」、「うまく表現できない」、「これまでにないほど良くない」などと表現します。

症状は全身のどの部位にも現れることがあります。症状の種類や発症頻度は文化的背景によって異なります。典型的な症状としては、頭痛、吐き気と嘔吐、腹痛、下痢や便秘、月経痛、疲労感、失神、性交痛、性欲減退などがあります。男性の場合は、勃起などの性機能不全の訴えが多くみられます。不安や抑うつも起こります。

身体化障害の患者は助けや感情的なサポートを要求し、自分の欲求が満たされていないと感じると怒りの感情を抱くことがあります。診療の内容に不満を抱くことも多く、医学検査や治療を求めて医師から医師へと渡り歩く人もいます。

診断

身体化障害の患者は、症状の基礎にある問題に精神的な要素が関与していることに気づいていないため、医師に診断のための検査や治療を強く要求します。一般に、医師はさまざまな診察や検査を行い、症状の十分な説明となる身体疾患の有無を調べます。1人の医師とかなり良好な関係を築いている患者であっても、専門医に紹介して診察を受けさせる場合がよくあります。

問題に精神的な要素が関与しているものだとわかれば、身体化障害の場合は症状が多様で何年間も続く傾向があるため、類似の精神障害との判別ができます。

予後(経過の見通し)

身体化障害の重症度は変動する傾向がみられますが、障害自体は生涯にわたり持続することがあります。症状が短期間でも完全に現れなくなることはまれです。中には、発症から長い年月が経つと抑うつが悪化する患者がいます。自殺のおそれもあります。

治療

治療は困難を伴います。精神療法、とりわけ認知行動療法が効果をもたらすことがあります。薬物療法によって、うつ病などの併存する精神障害の症状が緩和されることもあります。

一般的に、身体化障害患者にとって最も有用なのは、健康管理を調整し、症状を和らげ、定期的に診察し、不必要な検査や治療から自身を守ってもらえる医師と支持的な信頼関係を築くことです。しかし、身体化障害の患者でも、実際に検査や治療を要する本当の身体疾患が生じることがあるため、医師は注意が必要です。

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