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脳、脊髄、神経の病気の検査

執筆者: Michael C. Levin, MD, Professor of Neurology, University of Tennessee Health Science Center

病歴と身体診察から推定された診断を確定させるために、さらに検査が必要となることがあります。神経の病気の診断には、CT検査(コンピュータ断層撮影検査-CT(コンピュータ断層撮影)検査を参照)、MRI検査(磁気共鳴画像検査-MRI(磁気共鳴画像)検査を参照)、血管造影検査(血管造影を参照)、PET検査(ポジトロン放射断層撮影検査-放射性核種スキャンを参照)、ドップラー超音波検査(超音波検査を参照)などの画像検査がよく用いられます。

神経系の病気の診断に役立つ画像検査

検査

用途

脳(カテーテル)血管造影検査

脳の血管の詳しい画像を撮影する

CT(コンピュータ断層撮影)検査

脳内の構造的な異常(膿瘍、腫瘍、水頭症など)を特定する

出血や脳卒中の証拠を特定する

椎間板の破裂またはヘルニアを特定する

脊椎の骨折を特定する

脳腫瘍に対する放射線療法の効果や脳膿瘍に対する抗生物質の効果をモニタリングする

CTA(CT血管造影)検査

脳の血管の詳しい画像を撮影する(このCTA検査の普及により、脳血管造影検査はあまり行われなくなっている)

ドップラー超音波検査(頸動脈超音波検査と経頭蓋超音波検査)

頸部および頭部の動脈の狭窄や閉塞を特定し、その程度を評価することで、脳卒中のリスクを判定する

MRI(磁気共鳴画像)検査

脳内の構造的な異常(膿瘍、腫瘍、水頭症など)を特定する(脳組織のMRI画像はCT画像よりも鮮明だが、MRI装置を利用できる医療施設は限られる)

MRA(磁気共鳴血管造影)検査

脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)を起こした患者や、動脈瘤または動静脈奇形の可能性がある患者について、動脈の状態を評価する

MRV(磁気共鳴静脈造影)検査

脳の静脈内の血栓(脳静脈血栓症)を発見する。また、この病気に対する治療の効果をモニタリングする

fMRI(機能的MRI)検査

各種の作業(本を読む、字を書く、何かを思い出す、計算する、手足を動かすなど)を行っているときに活性化する脳領域を特定する

灌流強調画像(PWI)によるMRI検査

脳の特定の領域に血液がどれだけ流れているかを推定する

拡散強調画像(DWI)によるMRI検査

ごく初期の脳卒中やクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)を特定する

MR(磁気共鳴)分光画像検査

膿瘍と腫瘍を鑑別する

PET(ポジトロン放射断層撮影)検査

脳内の血流と代謝活性を評価する

けいれん性疾患について情報を収集する

アルツハイマー病、パーキンソン病、一過性脳虚血発作および脳卒中を特定するのに役立つ

脊椎穿刺

脳と脊髄を覆っている組織層(髄膜)の間には、くも膜下腔と呼ばれる空間があり、この空間には脳脊髄液が流れています。脳脊髄液は、脳と脊髄を取り囲んで、急激な振動や軽い外傷の際に衝撃を和らげるのに役立っています。

脊椎穿刺(腰椎穿刺)では、脳脊髄液のサンプルを注射針で吸い出し、それを検査室に送ります。

脳脊髄液を検査すると、脳や脊髄に起きる感染症、腫瘍、出血の有無を調べることができます。正常な状態では、脳脊髄液は赤血球と白血球をほとんど含まず無色透明ですが、これらの病気が起きると、脳脊髄液の外観や含有物が変化します。たとえば、次のような所見がある場合は特定の病気が疑われます。

  • 脳脊髄液中に含まれる白血球の数が増加している場合は、脳および脊髄の感染症や炎症が疑われます。

  • 白血球が多くて脳脊髄液が濁っている場合は、髄膜炎(脳と脊髄を覆っている組織の感染症や炎症)、ときに脳炎(脳の感染症や炎症)が疑われます。

  • 脳脊髄液中のタンパク質濃度が上昇している場合は、原因として脳、脊髄または脊髄神経根(脊髄神経の、脊髄のすぐ近くの部分)の損傷が考えられます。

  • 脳脊髄液中に異常な抗体が認められる場合は、多発性硬化症か感染症が疑われます。

  • ブドウ糖の濃度が低下している場合は、髄膜炎や癌が疑われます。

  • 脳脊髄液中に血液が認められる場合は、脳出血の可能性が考えられます。

  • 脳脊髄液の圧力が上昇している場合は、脳腫瘍や髄膜炎など多数の病気が考えられます。

頭蓋内の圧力が高くなっている場合には視神経( 検眼鏡とは?を参照)が膨らむため、脊椎穿刺を行う前に、検眼鏡を使って視神経検査を行います。腫瘤(腫瘍や膿瘍など)によって頭蓋内の圧力が高まっている場合は、脊椎穿刺を行うと脳の下の部分の圧力が急激に低下することがあるため、脊椎穿刺は行いません。こうした急激な圧力低下があると、脳の位置がずれて、脳の各部分を仕切っている比較的硬い組織にある小さな穴から脳の一部が押し出されることがあるからです(この状態を脳ヘルニアと呼びます- ヘルニア:脳の圧迫を参照)。脳ヘルニアでは、脳に圧力がかかって、死に至る可能性もあります。脳ヘルニアのリスクの有無を判定するには、病歴聴取と神経学的検査が役立ちます。しかし、通常は頭部のCTやMRIの方がより正確な情報を得られるので、多くの場合は脊椎穿刺の前に念のためこれらの画像検査が行われます。

脊椎穿刺の方法

脳脊髄液は、脳と脊髄を覆っている3層の組織(髄膜)のうち中間の層と内側の層との間にある空間(くも膜下腔)を流れています。脳脊髄液のサンプルを採取するには、脊椎の下の方にある2つの椎骨の間(通常は第3腰椎と第4腰椎の間か第4腰椎と第5腰椎の間で、脊髄の下端部より下に位置します)に中空の細い針を刺し込みます。通常、患者は膝を胸の方に曲げた状態で横向きに寝ます。この姿勢をとると、椎骨の間の隙間が広がるため、刺す際に針が骨に当たりにくくなります。針から流れ出た脳脊髄液は試験管に集められて、検査室に送られます。

典型的な脊椎穿刺では、患者は膝を胸の方に引き寄せた状態で横向きに寝ます。針を刺す場所には局所麻酔を行います。そして、脊椎の下の方(脊髄の末端より下)にある2つの椎骨の間に針を刺します。

脊椎穿刺の際に頭蓋内の圧力を測定することもできます。その場合は、脊椎穿刺に使われる針に専用の計器(圧力計)を接続し、計器内で上昇する脳脊髄液の高さを測ります。

脊椎穿刺にかかる時間は通常15分以内で、普通はベッドサイドで行われます。

脊椎穿刺の後、およそ10人に1人の割合で、立ち上がったときに頭痛が起こります。この頭痛は通常、数日から数週間で消失します。頭痛以外の問題が発生することはきわめてまれです。

脳エコー検査

脳エコー検査は、超音波を利用して脳の画像を撮影する検査です。簡単で痛みがなく費用も比較的安い検査方法で、まだ頭蓋骨が薄くて超音波を通しやすい2歳未満の小児に行えます。水頭症や出血の存在を確認したい場合に、ベッドサイドで迅速に行うことが可能です。しかし、(特に年長の小児と成人では)脳エコー検査よりはるかに鮮明な画像が得られるCT検査とMRI検査が主流になっています。

脊髄造影検査

脊髄造影検査は、脊椎穿刺によって脳脊髄液に造影剤を注入してから脊髄のX線画像を撮影する検査です。現在では、脊髄造影検査より、詳しい画像を簡単かつ安全に撮影できるMRI検査が主流になっています。MRI検査では描出されない脊柱管とその周囲の骨を詳しく調べたい場合には、CTを用いた脊髄造影検査が行われます。このCT脊髄造影検査は、MRI検査が利用できない場合や安全に行えない場合(患者が心臓ペースメーカを使用している場合など)にも用いられています。

脳波検査

脳波検査(EEG)は、脳の電気的な活動を波形として計測して、それを紙に印刷したりコンピュータに記録したりする検査法で、痛みを伴わずに簡単に行える方法です( 発作中の脳の電気的活動を参照)。脳波検査は、けいれん性疾患、睡眠障害、一部の代謝性疾患や脳の構造的異常を特定するのに役立ちます。たとえば、けいれん発作が脳のどの領域で起きているかを特定したり、肝不全による錯乱(肝性脳症)の際に起こる特徴的な電気的活動を明らかにしたりすることができます。

脳波検査では、まず頭皮に小さな円形のセンサー(電極)を貼りつけます。電極はワイヤで記録装置に接続されていて、個々の電極が検出したわずかな電圧の変化をこの装置で記録(トレーシング)します。この記録結果は脳波図と呼ばれます。

けいれん性疾患が疑われていて、最初の脳波図が正常だった場合は、けいれん発作が起きやすくなる処置をした後でもう一度、脳波を記録します。たとえば、睡眠不足の状態にする、深く速く呼吸する(過換気)、フラッシュライト(ストロボスコープ)を当てるなどの方法が用いられます。

時として(たとえば、けいれん発作のような動きだが精神疾患によるものとの鑑別が難しい場合など)、入院してビデオカメラでモニタリングしながら、24時間以上にわたって脳の電気活動を記録する場合もあります。けいれん発作のような動きがカメラで捉えられたら、その時点の脳波図を調べると、けいれんの電気活動が起きているのか、それとも正常な電気活動が続いているのかを知ることができ、後者の場合には精神疾患であると考えられます。このビデオ脳波検査は、てんかん患者に対する手術の準備段階において、脳の特定領域の異常により発生するけいれん発作の種類を確認する目的でも用いられます。

誘発反応検査

この検査では、視覚、聴覚または触覚に刺激を与えることで、脳の特定の領域を活性化する、すなわち反応を誘発します。この反応から、脳の各領域がどの程度正常に機能しているかを知ることができます。たとえば、ライトを短時間光らせると、眼の網膜と視神経、そして視覚情報を受け取り解釈する部位である脳の後部につながる神経経路が刺激されます。刺激により誘発された電気活動を検出するために脳波検査が用いられます。

誘発反応検査は、乳児や小児で感覚がどの程度機能しているかを検査するのに特に有用です。たとえば、乳児の左右それぞれの耳のそばでカチッという音をたてて反応をみることで、聴覚を検査できます。誘発反応検査は、多発性硬化症などの病気が視神経、脳幹、脊髄のさまざまな部位に及ぼしている影響を特定するのにも役立ちます。こうした影響は、MRI検査では発見できない場合もあります。

筋電図検査と神経伝導検査

筋電図検査と神経伝導検査は、筋力低下や感覚喪失が以下の部分の損傷によって起きているかどうかを判断するのに役立ちます。

  • 脊髄神経根(例、首や腰の椎間板の損傷によるもの)

  • 末梢神経(例、手根管症候群や糖尿病性神経障害によるもの)

  • 神経と筋肉との接続部(神経筋接合部)(例、重症筋無力症、ボツリヌス中毒、ジフテリアによるもの)

  • 筋肉(例、多発性筋炎によるもの)

筋電図検査(EMG)では、小さな針を筋肉に刺し、筋肉が休んでいるときと収縮しているときの電気的活動を記録します。正常であれば、休んでいる筋肉は電気的活動を起こしません。わずかな収縮でいくらかの電気的活動が起こり、強く収縮するほど電気的活動も強くなります。脊髄神経根、末梢神経、筋肉または神経筋接合部の異常によって筋力低下が起きている場合には、筋電図に特徴的な異常パターンがみられます。検査技師が日常的に行えるCT検査や脳波検査と異なり、筋電図検査を行うには、検査に適切な神経と筋肉を選択して、得られた結果を解釈するため、神経内科の専門知識が必要です。

神経伝導検査では、運動神経や感覚神経が電気信号を伝える速さを測定します。弱い電流を流すことで、検査対象の神経に沿って電気信号を発生させます。この電流は、皮膚の表面に貼った複数の電極か、神経経路に沿って刺した複数の針から流します。電気信号は神経に沿って伝わり、最終的には筋肉に到達して収縮を引き起こします。電気信号が筋肉に到達するまでの時間と、電極または針から筋肉までの距離を計測することで、神経伝導速度を算出します。刺激は1回だけ加える場合もあれば、神経筋接合部がどの程度機能しているかを調べるため何回か加える場合もあります。検査結果が異常になるのは、神経または神経筋接合部の異常が原因で症状が生じている場合に限られます。たとえば、

  • 神経伝導速度が低下している場合は、原因として手根管症候群(手首の神経が圧迫されて痛みが生じる病気)などの神経の病気が考えられます。

  • 刺激を繰り返したときに筋肉の反応が次第に弱くなる場合は、原因として(重症筋無力症でみられるような)神経筋接合部の異常が考えられます。

脳、脊髄、脊髄神経根または筋肉だけが冒される病気では、神経伝導速度への影響はみられません。

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