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回転性めまい

執筆者: Michael Jacewicz, MD, Professor of Neurology;Assistant Chief of Neurology, University of Tennessee Health Science Center;Veterans Administration Medical Center, Memphis

回転性めまいは、自分自身か周囲のもの、またはその両方が動いているか回転しているように誤って感じられるめまいで、通常は吐き気とバランス感覚の喪失を伴います。

  • 回転性めまいは、内耳か、バランス感覚に関与する脳の領域が病気の影響を受けることで起こります。

  • 回転しているような感覚に加えて、吐き気、バランス感覚の喪失、聴覚または視覚障害、頭痛などが生じる場合もあります。

  • 多くの場合は、患者による症状の説明と身体診察の結果に基づいて原因を診断できますが、さらに検査が必要になる場合もあります。

  • めまいの誘因に応じた簡単な予防策や、薬剤の服用によって再発を予防できる場合があります。

  • スコポラミンのパッチ剤などの薬剤によって、回転性めまいと吐き気を軽減できることがあります。

小児の遊びで、その場でぐるぐる回ってから急に止まると周囲のものが回転して見える、というものがありますが、回転性めまいの感じはこれとよく似ています。めまいの大半は回転性めまいではありません。

原因

回転性めまいは、バランス感覚の維持に関与する体の各部の病気によって発生します。具体的には以下の部位です。

  • 内耳( 耳 : 内耳を参照)

  • 脳幹と小脳

  • 脳幹と小脳をつないでいる神経路、または脳幹内の各部分をつないでいる神経路

内耳の中には、体が位置と動きを感知するために必要な構造物(半規管、球形嚢、卵形嚢)が存在します。これらの構造物から発信された情報は、内耳神経(第8脳神経。聴覚にも関与する)を経由して、脳に伝達されます。この情報が、体の姿勢を調節する脳幹と、体の動きを協調させる小脳で処理されて、バランス感覚がもたらされます。

内耳障害

回転性めまいの原因で最も多いのは乗り物です。乗り物酔いは、左右方向の揺れや、急停止と急発進など、特定の動きに対して内耳が敏感な人に起こることがあります。

ほかに回転性めまいの原因として多いのは、内耳に複数ある半規管の一つにカルシウム粒子が異常に蓄積することです。これが原因となる良性発作性頭位めまい症(BPPV)は、特に高齢者に多くみられ、頭が特定の動きをしたときにめまいが発生します。

メニエール病は、回転性めまいの発作を起こす病気です。メニエール病の原因には、内耳の過剰な液体貯留(内リンパ水腫)が関係すると考えられています。この状態をもたらす要因はわかっていませんが、自己免疫反応、アレルギー、自律神経系のバランスの乱れ、耳の中のある種の構造物の異常、ウイルス感染などではないかと考えられています。

内耳神経に異常が生じると、回転性めまいか、聴覚障害、またはその両方が生じる可能性があります。

内耳や、内耳の神経接続部に影響して回転性めまいを起こす病気としては、ほかに以下のようなものがあります。

  • 細菌またはウイルス感染症(前庭神経炎、帯状疱疹、乳様突起炎など)

  • パジェット病

  • 腫瘍(聴神経腫瘍など)

  • 神経の炎症

一部の薬剤(アミノグリコシド系抗生物質、アスピリン、化学療法薬のシスプラチン、鎮静薬のフェノバルビタール、抗けいれん薬のフェニトイン、抗精神病薬のクロルプロマジン、フロセミドを含む一部の利尿薬など)によって内耳に異常が起きる場合もあります。大量の飲酒も一時的な回転性めまいを引き起こします。

脳に影響する病気

脳幹、小脳または脳の後部に供給される血液が減少して回転性めまいが起きることがあります。この血液供給量の減少は椎骨動脈と脳底動脈で生じることから、椎骨脳底動脈循環不全症と呼ばれています。血液供給量の減少による症状が一時的な場合は、一過性脳虚血発作(TIA)と診断されます。永続的な異常が生じた場合は、脳卒中と診断されます。

頻度は低くなりますが、脳幹または小脳に影響して回転性めまいを起こす他の病気としては、多発性硬化症、頭蓋底骨折、頭部外傷、けいれん発作、感染症、脳の底部やその付近に発生した腫瘍などがあります。片頭痛発作の一部として起こる回転性めまいもあり、これは時として頭痛を伴わずに起こる場合もあります。

ときには、頭蓋内の圧力が突然高まる病気によって脳が圧迫され、その結果として回転性めまいが起きる場合もあります。そのような病気としては、良性頭蓋内圧亢進症、脳腫瘍、頭蓋内出血などが挙げられます。

知っていますか?

  • 多くの場合、回転性めまいを軽減する薬は、服用するより服用しないほうがよいのです。

症状

回転性めまいの発生時は、自分自身か周囲のもの、またはその両方が回転しているような不快な感覚が生じます。ときには、単に片側に引っ張られているように感じることもあります。そのためバランス感覚が失われて、歩行や運転が困難になります。回転性めまいは、しばしば次のような症状を伴います。

  • 眼振(眼球が一定の方向にすばやく動いてからゆっくり元の位置に戻る現象で、回転性めまいの発作中に何度もみられます)

  • 吐き気(ときに嘔吐も伴います)

回転性めまいは、ほんのわずかな時間で終わる場合もあれば、何時間あるいは何日間も続く場合もあります。回転性めまいの発生時には、横になるか静かに座っていることで楽になる場合もありますが、まったく動いていなくてもめまいが続く場合もあります。症状の原因が内耳の異常である場合(良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎など)には、数日から数週間で症状が改善されるのが典型的ですが、原因が中枢神経系の病気である場合(脳卒中や多発性硬化症など)は、症状の改善までに数週間から数カ月を要します。

メニエール病では、回転性めまいの発作が間欠的に突然起こります。その他にも以下のような症状がみられます。

  • 耳鳴り

  • 進行性難聴(通常は周波数の低い音[低音]に対する聴力が低下します)

  • 異常が起きた側の耳の充満感や圧迫感

  • しばしば、重度の吐き気と嘔吐

通常、1回の発作は数分から数時間続きます。低下した聴力は最初のうちは正常時の状態まで回復しますが、病気が長引くにつれて難聴が持続的になり、悪化します。

内耳のウイルス感染(前庭神経炎)が起こると、回転性めまいが突然発生し、数時間のうちに悪化します。吐き気が強い場合もあります。頭や眼を動かすと嘔吐の引き金になるため、この病気になった人は動かずにじっと座っていることもあります。前庭神経炎は数日で軽快しはじめますが、場合によっては数週間から数カ月続くこともあります。

椎骨脳底動脈循環不全症などの脳の病気による回転性めまいは、次のような症状を伴うことがあります。

  • 頭痛

  • ろれつが回らない

  • 複視

  • 腕や脚の筋力低下

  • 協調運動の障害

  • 意識の喪失

突然の頭蓋内圧の上昇によって起こる回転性めまいは、次のような症状を伴うことがあります。

  • 頭痛

  • 一時的なかすみ目

  • 歩行時のふらつき

診断

医師は、めまいの感じや状態について患者に尋ねます。バランス感覚と聴覚の検査も行います。

身体診察

眼を観察して眼振などの異常な眼球運動がないかを調べます。異常な眼球運動がある場合は、内耳や脳幹内のさまざまな神経接続部に影響する病気が疑われます。眼振のときに眼がどの方向に動くかが診断に役立つため、医師は意図的に眼振を誘発します。眼振の方向を調べるにはいくつかの方法があります。検眼鏡検査では、医師は視神経乳頭を注視しながら、患者のもう一方の眼を覆います。このとき視神経乳頭が揺れ動くようなら、眼振があります。フレンツェル眼鏡という特殊な眼鏡を使った検査方法もあります。患者がこの眼鏡をかけると、医師はレンズを通して患者の眼球をよく観察できますが、患者は視界がぼやけて焦点を合わせることができません(眼の焦点が合うと眼振が抑制されます)。眼の周りの皮膚に電極を貼り付けるか(電気眼振検査)、フレンツェル眼鏡にビデオカメラを取り付けて、眼球の動きを記録する場合もあります。

眼振の誘発法としては、以上のほかにも、耳の中に冷たい水を入れる方法(温度眼振検査[カロリックテスト])、頭を20秒間すばやく左右に揺り動かす方法(頭振後眼振検査)、頭部の位置をすばやく変えて後半規管を刺激する方法(ディックス・ホールパイク法)などがあります。ディックス・ホールパイク法は良性発作性頭位めまい症の診断に用いられ、やりかたはエプリー法の最初の部分と同じです( エプリー法:回転性めまいの原因を簡単に治す方法を参照)。

検査

多くの場合、追加の検査は必要ありません。場合によっては、頭部のCT検査またはMRI検査で回転性めまいの原因となっている病気を発見できることがあります。CT検査では、耳の後ろにある骨の感染症(乳様突起炎)、頭蓋底骨折、腫瘍による骨の浸食、パジェット病などによる異常な骨形成など、骨の異常を見つけることができます。脳幹や脳神経については、CT検査よりMRI検査の方が良好な画像が得られます。

耳の感染症が疑われる場合は、注射針か綿棒を用いて耳から膿や体液のサンプルを採取します。

脳の感染症が疑われる場合は、脊椎穿刺(腰椎穿刺)を行って、脊椎から脳脊髄液のサンプルを採取することがあります。

多発性硬化症が疑われる場合は、MRI検査を行うことがあります。

脳への血流不足が疑われる場合は、ドップラー超音波検査、CT血管造影検査、磁気共鳴血管造影(MRA)検査、カテーテル血管造影検査(X線を使用します)などを行います。

予防と治療

特定の原因による回転性めまいは予防が可能です。たとえば、乗り物酔いによる回転性めまいの場合は、原因となる状況(揺れるボートに乗ることなど)を避けることができ、また、遠くの動かないものに視点を定めると(固視)、発作を防いだり、始まった発作を止めたりするのに役立ちます。スコポラミンのパッチ剤は、乗り物酔いによる回転性めまいの治療と予防に役立ちます。

回転性めまいとそれに伴う吐き気を軽減する薬剤としては、シクリジン(cyclizine)、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、メクリジン(meclizine)、プロメタジンなどがあります。これらの薬剤は経口での使用が可能です。あるいは、スコポラミンの経皮パッチ剤を(通常は耳の後ろに)貼って使用することもできます。スコポラミンのパッチ剤は効果が数日間持続し、特に吐き気がある場合に選択されることがあります。

回転性めまいが重度の場合や回転性めまいにより不安が生じている場合は、鎮静薬が有用なことがあります。最も多く使われるのはベンゾジアゼピン系薬剤です。ベンゾジアゼピン系薬剤であるアルプラゾラムとロラゼパムは、他のベンゾジアゼピン系薬剤と比べて効果の持続時間が短いため、特に高齢者でよく使用されます。

これらの薬剤はいずれも副作用を起こす可能性があり、高齢者では特にリスクが高くなります。そのため、高齢者はできるだけこれら薬剤の使用を避けるべきですが、重度の回転性めまいが長く続いて薬剤が必要になることもあります。その場合は医師の監督下で使用すべきです。スコポラミンのパッチ剤は副作用が最も少ない傾向があります。たいていの場合、高齢者の回転性めまいは良性発作性頭位めまい症が原因であり、薬剤を使用しなくても軽快します。回転性めまいの治療薬は、乳幼児に使用すると精神の興奮を引き起こす可能性があるため、医師の指示がない限り使用してはいけません。

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