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腎外傷

執筆者: Noel A. Armenakas, MD

腎損傷は有意な腹部外傷を負った患者の最大10%でみられる。泌尿生殖器損傷の約65%に腎臓が関与している。

ほとんどの腎損傷(全症例の85~90%)は鈍的外傷によるもので,典型的には交通事故,転倒・転落,または暴行に起因する。ほとんどの損傷は軽度である。合併損傷の頻度が最も高い部位は,頭部,中枢神経系,胸部,脾臓,および肝臓である。穿通性損傷は通常は銃創によって生じる。そのような患者には通常,複数の腹腔内損傷が生じており,最も頻度が高い損傷部位は胸部,肝臓,腸管,および脾臓である。

腎損傷は重症度に応じて5つのgradeに分類される( 腎損傷のgrade)。

腎損傷のgrade

腎損傷は重症度によって以下のように分類される:

  • Grade 1:腎挫傷および/または拡大しない被膜下血腫

  • Grade 2:腎髄質および集尿系に及ばない深さ1cm未満の裂傷および/または拡大しない後腹膜血腫

  • Grade 3:1cmを超えるが集尿系には及ばない裂傷

  • Grade 4:集尿系に及ぶ1cmを超える裂傷および/または出血を伴う腎血管損傷

  • Grade 5:腎破砕および/または腎血管の引き抜き損傷

診断

  • 尿検査およびヘマトクリット

  • 中等度または重度の損傷が疑われる場合は造影CT

以下の状況にある患者では,常に本症を疑うべきである:

  • 中胸部と下腹部の間に穿通性損傷がみられる

  • 有意な減速損傷

  • 側腹部への直接的な打撃

これらの患者では,血尿により腎損傷が強く示唆され,その他の指標としては以下のものがある:

  • シートベルト痕

  • びまん性の腹部圧痛

  • 側腹部の挫傷

  • 下部肋骨の骨折

比較的軽度の外傷後に肉眼的血尿がみられた患者は,未診断の先天性腎奇形を有している可能性がある。

臨床検査にはヘマトクリットと尿検査を含めるべきである。画像検査の適応がある場合は,通常は造影CTで腎損傷の重症度を判定し,合併する腹腔内損傷および合併症(後腹膜出血,尿溢出など)を同定する。顕微鏡的血尿がみられる鈍的外傷の患者では,通常は軽微な腎損傷が生じており,外科的修復が必要になることはほぼないため,CTは通常不要である。鈍的外傷の患者で以下のいずれかに該当する場合は,CTの適応である:

  • 受傷機転に高所からの転落または高速での交通事故が関与している

  • 肉眼的血尿を認める

  • 低血圧(収縮期血圧90mmHg未満)とともに顕微鏡的血尿を認める

  • 重度の腎損傷を示唆する臨床徴候(例,側腹部の挫傷,シートベルト痕,下部肋骨または脊椎横突起骨折)を認める

パール&ピットフォール

  • 鈍的外傷後に顕微鏡的血尿のみがみられる患者の大半では,腎損傷の診断のための画像検査は必要ない。

穿通性外傷では,顕微鏡的または肉眼的血尿を呈する全例でCTが適応となる。まれに,持続性または遷延性出血の評価のために血管造影が適応となり,選択的動脈塞栓術も併用する場合がある。

小児の腎損傷も同様に評価するが,尿検査で赤血球数が強拡大視野当たり50個を上回る鈍的外傷の小児患者では,全例で画像検査が必要となる。

治療

  • 絶対安静

  • 一部の鈍的損傷とほとんどの穿通性損傷には外科的修復または血管造影による介入

鈍的腎損傷の大半(grade 1および2の全症例とgrade 3および4症例の大半)は,積極的な介入なしで安全に治療することができる。積極的な介入としては,手術または(可能であれば)血管造影による介入が可能である(例,特定の腎血管損傷に対するステント留置術または動脈塞栓術)。肉眼的血尿が消失するまで,絶対安静が必要である。以下がみられる患者には介入が必要である:

  • 持続性出血(すなわち,循環血液量減少に対する治療が必要になるほどの出血)

  • 拡大する腎周囲血腫

  • 腎茎部の引き抜き損傷または他の有意な腎血管損傷

穿通性外傷には通常は外科的検索が必要になるが,CTで腎損傷の程度を正確に確認でき,血圧が安定し,かつ他に手術を要する腹腔内損傷がない患者では,経過観察が妥当な場合がある。

要点

  • 泌尿生殖器損傷の大半に腎臓が関連し,その原因のほとんどは鈍的外力であり,大半が軽度である。

  • 泌尿器の評価は尿検査とヘマトクリットで開始する。

  • 中等度または重度の損傷が疑われる症例(例,重度の損傷を示唆する受傷機転または所見,肉眼的血尿,低血圧)では,造影CTを施行する。

  • 持続性の出血,拡大する腎周囲血腫,腎茎部の引き抜き損傷,および有意な腎血管損傷に対しては,手術または血管造影を考慮する。

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