見つかりません
関連するトピック

医学トピック、症状、薬剤、処置や検査、ニュースなど、MSDマニュアルプロフェッショナル版に記載されている情報をここから検索できます。

リウマチ熱

執筆者: Frank Pessler, MD, PhD, Helmholtz Centre for Infection Research, Braunschweig, Germany ; David D. Sherry, MD, Professor of Pediatrics;Director, Clinical Rheumatology, University of Pennsylvania;The Children's Hospital of Philadelphia

リウマチ熱は,A群レンサ球菌感染症の合併症として発生する急性の非化膿性炎症であり,関節炎,心炎,皮下結節,輪状紅斑,舞踏病などを引き起こす。診断は,病歴,診察,および臨床検査から得た情報に対する,Jones診断基準の適用に基づく。治療には,アスピリンまたはその他のNSAIDの投与,重症心炎発生時のコルチコステロイド投与,残存するレンサ球菌の根絶と再感染防止のための抗菌薬投与が含まれる。

急性リウマチ熱(ARF)の最初のエピソードはいずれの年齢でも起こりうるが,5歳から15歳の間が最も多く,3歳前および21歳以降はまれである。したがって通常,3歳未満の咽頭炎の患児には,リウマチ熱の一次予防のためにA群レンサ球菌(GAS)感染の検査を行う必要はない。

全世界での発生率は19/100,000(範囲,5~51/100,000)であり,北米および西欧で最も低く(< 10/100,000),東欧,中東,アジア,オーストラリア,およびニュージーランドで最も高い(> 10/100,000)。発病率(無治療のA群レンサ球菌咽頭炎の患者のうちARFを発症する患者の割合)は,0.4~3.0%とばらつきがある。レンサ球菌のMタンパクの血清型が特定のものである場合,および宿主の免疫反応が強い場合に発病率がより高い。ARFの既往がある患者では,無治療のA群レンサ球菌咽頭炎における発病率が50%近くに達しており,レンサ球菌に対する長期の感染予防が重要であることが分かる。先進国の大半では発生率は減少しているが,発展途上国では依然として高率である。しかし,ARFの地域的なアウトブレイクが繰り返し発生していることから,よりリウマチ原性(rheumatogenic)の高いレンサ球菌の菌株が米国になお存在することが示唆される。慢性リウマチ性心疾患については,診断基準が標準化されておらず,剖検もルーチンに行われていないため,その有病率は不明である。

病態生理

GAS感染がARFの先行する病因であるが,宿主および環境因子が重要である。GASのMタンパクは滑膜,心筋,心臓弁にみられるタンパクと共通のエピトープ(抗体に認識される抗原決定基となる部分)を有し,分子擬態が関節炎,心炎,および弁損傷に寄与していることを示唆している。宿主の遺伝的危険因子には,D8/17 B細胞抗原と特定の組織適合性抗原クラスIIなどがある。低栄養,過密環境,社会経済的地位の低さが,レンサ球菌感染とその後のリウマチ熱発症の素因となる。

関節,心臓,皮膚,中枢神経系が最も多く侵される。病理は部位により異なる。

関節

関節病変は,滑膜の生検において非特異的炎症像として現れ,ときにアショフ体に似た小病巣(白血球,筋細胞,および間質コラーゲンの肉芽腫性集積)を伴う。

心臓

心臓病変は心炎として現れ,典型的には内側から外側へ拡がる(すなわち,弁および心内膜の後に心筋,最後に心膜へ拡がる)。ときに,何年か後に慢性リウマチ性心疾患となり,主として弁狭窄症によって発現するが,ときに逆流,不整脈,心室機能障害によって発現する場合もある。アショフ体が心筋や心臓のその他の部位にしばしば発現する。非特異的な線維性心膜炎が,ときとして心嚢液滲出を伴い,心内膜炎の患者のみでみられ,通常は永続的な障害を残すことなく沈静化する。潜在的危険性をはらむ特徴的な弁の変化が生じる場合がある。急性の間質性弁膜炎により弁の浮腫が生じる場合がある。無治療のまま放置すると,弁の肥厚,癒合,退縮,または弁葉や弁尖のその他の破壊が起こり,狭窄や閉鎖不全が生じる。同様に,腱索の短縮,肥厚,癒合が生じ,障害された弁で逆流が増したり,障害のない弁で新たに逆流が発生したりすることがある。弁輪の拡大が逆流の原因になることもある。僧帽弁,大動脈弁,三尖弁,肺動脈弁が侵される(発生頻度順)。逆流と狭窄が僧帽弁および三尖弁でよくみられる変化である;大動脈弁では一般にまず逆流が起こり,狭窄が起こるのはかなり後になってからである。

皮膚

皮下結節は,RAのものと鑑別不能にみえるが,生検ではアショフ体に類似した特徴を示す。輪状紅斑は,例えば全身型若年性特発性関節炎(JIA)の発疹,ヘノッホ-シェーンライン紫斑病,慢性遊走性紅斑,多形紅斑など,肉眼的な外観が類似する他の皮膚病変とは組織学的に異なる。真皮の血管周囲に好中球および単核細胞浸潤が起こる。

中枢神経系

シデナム舞踏病はARFに併発する舞踏病であるが,中枢神経系において基底核における過灌流および代謝増加として現れる。また抗神経抗体レベルの上昇も示されている。

症状と徴候

最初のエピソードは,典型的にはレンサ球菌感染後2~4週間頃に発生する。臨床像として典型的には,関節,心臓,皮膚,および中枢神経系がいくらか組み合わさって侵される。

関節

移動性の多関節炎が最も多い症状であり,患児の約70%に起こり,しばしば発熱を伴う。ときに単関節炎が生じる。関節には極度の疼痛および圧痛が生じ,発赤,熱感,腫脹がみられることもある。通常は足関節,膝関節,肘関節,および手関節が侵される。肩関節,股関節,および手足の小関節に発生することもあるが,決して単独では生じない。脊椎関節が侵された場合は,他疾患を疑うべきである。

関節痛様症状は関節周囲における非特異的な筋肉痛あるいは腱痛によるものであり,筋付着部で腱鞘滑膜炎が発生することもある。関節痛と発熱は通常2週間以内に消失し,1カ月を超えて続くことはまれである。

心臓

心炎が単独で,または心膜摩擦音や心雑音,心拡大,心不全などを伴って発生する。ARF初発時に,約50%で心炎が発生する。患児には高熱,胸痛,またはその両方がみられることがある。約50%の症例では,心障害(すなわち,弁機能障害)はかなり後になってから発生する。

心雑音が一般的であり,通常は早期より明らかであるが,初診では聴取されないこともある;そのような症例では,診察を繰り返して心炎の有無を確認することが推奨される。大動脈弁逆流の柔らかな拡張期流音と僧帽弁狭窄の前収縮期雑音は聴取困難なことがある。心雑音はしばしばいつまでも続く。その後の2~3週間に病状が増悪しなければ,心炎による新たな徴候が生じることは少ない。ARFの典型例では,心炎が慢性でくすぶり型となることはない。弁の急性損傷による瘢痕が収縮および変化を起こし,急性炎症の持続がない場合でも心筋で二次性の血行動態障害が発生することがある。

心炎と弁機能障害の組合せにより生じる心不全では,ラ音を伴わない呼吸困難,悪心および嘔吐,右上腹部または心窩部痛,短く強い乾性咳嗽などが発生する。著明な嗜眠および疲労が心不全の初期症状のこともある。

皮膚

皮膚および皮下組織の病像はまれであり,まず単独で起こることはなく,通常はすでに心炎,関節炎,または舞踏病が発生している患児に現れる。

皮下結節は,大関節の伸側に最もよくみられ,通常は関節炎および心炎が併発している。ARF患児の約2%に皮下結節がみられる。通常,皮下結節は無痛性かつ一過性で,関節炎や心炎の治療への反応がみられる。

輪状紅斑は,蛇行状で平坦またはわずかに隆起した瘢痕のない無痛性発疹である。患児の約2%にこの発疹がみられる。ときに1日もたたないうちに消失する。紅斑はしばしばその原因となるレンサ球菌感染に遅れて出現し,他のリウマチ性炎症の発現に伴うかまたは遅れて出現することがある。

中枢神経系

シデナム舞踏病が患児の約10%に発生する。他の症状とともに発生することもあるが,他の症状の消失後に生じることも多い(しばしば,急性レンサ球菌感染の数カ月後)。舞踏病の発症は,典型的には潜行性で,不適切な状況で笑ったり泣いたりする行為が先行することがある。舞踏病は,手から始まる速く不規則な痙動で構成されるが,しばしば全身化して足や顔面にまで及ぶこともある。特徴的所見として,握力の変動(milkmaid’s grip),舌の出し入れ(挺舌時に必ず素早い出し入れが伴う),しかめ面,舌打ちを伴うまたは伴わない爆発性言語などがある。合併する運動症状として,微細運動制御の喪失,筋力低下および筋緊張低下(麻痺と間違われるほど重度のことがある)などがある。

多くの患児で強迫行動が現れる。

その他

発熱および他の全身症状(食欲不振や倦怠感など)が顕著になりうるが,特異的ではない。同定可能な徴候が発生するまで,ARFはときに不明熱として発現することもある。心不全での肝障害または腸間膜リンパ節炎の併発のため,腹痛および食欲不振が起こりうる。発熱,白血球数の上昇,および筋性防御がみられることから,特にリウマチの他の症候を欠く場合には,急性虫垂炎に類似した状況となる。初発の患児の約4%,および再発の患児の9%に鼻出血が生じる。腹痛と鼻出血はいずれもJones診断基準の以前の版では副症状であった。

ARFエピソードの持続(8カ月を超える)が約5%の患者でみられるが,これは介在するレンサ球菌感染にも抗炎症療法の中止にも無関係な炎症の自然再発(臨床および検査所見)である。再発は通常,初発時の症状に類似する。

診断

  • Jones診断基準(初発時の診断)

  • GAS検査(培養,レンサ球菌迅速検査,または抗ストレプトリジンO抗体価および抗DNase B抗体価)

  • 心電図

  • 赤沈およびC反応性タンパク(CRP)値

ARF初発時の診断は,Jones診断基準の改訂版に基づいて行う( 急性リウマチ熱初発時のJones診断基準改訂版*参照);先行するGAS感染の証拠とともに,主症状2つ,または主症状1つと副症状2つが必要である。シデナム舞踏病単独(すなわち,副症状なし)は,運動障害の他の原因が除外された場合,診断基準を満たす。Jones診断基準は,再発の確定診断には使用するべきでない。

先行するレンサ球菌感染は,最近の咽頭炎の病歴により示唆され,咽頭培養陽性,抗ストレプトリジンO抗体価の上昇,またはGASの迅速抗原検査陽性で確定される。最近の猩紅熱の病歴は非常に示唆的である。咽頭培養および迅速抗原検査結果は,しばしばARFが発現する頃までに陰性になるが,抗ストレプトリジンO抗体価やその他の抗体価は,典型的にはピークに入る。先行感染のあった小児のうち,抗ストレプトリジンO抗体価に有意な高値が認められるのは80%にとどまる;したがって,抗DNase B抗体の値も測定すべきである。

関節炎の他の原因(例,感染)を除外するために,関節穿刺が必要となる場合がある。関節液は通常,混濁かつ黄色を呈し,好中球優位の白血球数増加がみられるが,培養は陰性である。補体価は通常,その他の炎症性関節炎においては低値を示すのに対し,正常またはわずかに低下する。

心電図は初期評価の際に行う。心エコーおよび心電図再検査を診断時に行う。血清心筋マーカー値を測定する;心筋トロポニンI値が正常の場合,顕著な心筋損傷を否定できる。PR延長などの心電図異常は,その他の心炎の証拠と相関するものではない。ARF患児のうち,PR間隔の延長が認められるのはわずか35%にとどまる。その他の心電図異常は心膜炎,心室もしくは心房の拡大,または不整脈によるものである。心エコー検査では,多くの患者において心炎の証拠を検出できる。胸部X線はルーチンには行われないが,ARFにおける心炎のよくみられる臨床像である心拡大を検出できる。皮下結節の生検は,特にその他の主な臨床症状が認められない場合,早期診断の助けとなる。リウマチ性心炎は,先天性心疾患および心内膜線維弾性症との鑑別が必要である;診断が難しい場合は,心エコー検査または冠動脈造影をその検証のために用いてもよい。

赤沈と血清C反応性タンパク(CRP)は,感度は高いが特異的ではない。赤沈はしばしば120mm/時を超える。CRPはしばしば2mg/dLを超えるが,この値は赤沈より速く上昇し下降するため,急性症状沈静化の後も赤沈が長期にわたり高値となっている患者においては,CRPの正常化によって炎症の消失を確認できる。心炎がない場合,赤沈は通常3カ月以内に正常値に戻る。合併症のない心炎の場合,赤沈を含む急性炎症所見は5カ月以内に消失する。白血球数は12,000~20,000/μLにまで達し,コルチコステロイド療法によりさらに増加することもある。

鑑別診断としては,JIA(特に全身型JIAおよび全身には及ばないが多関節型JIA),ライム病,反応性関節炎,鎌状赤血球症の関節疾患,白血病やその他の癌,全身性エリテマトーデス,塞栓性の細菌性心内膜炎,血清病,川崎病,薬物反応,淋菌性関節炎などがある。これらは病歴や特異的臨床検査によって鑑別されることが多い。通常,全身型JIAは,GASの先行感染を欠くこと,発熱の日内変動,一過性の皮疹,および遷延する関節の炎症症状により,ARFと鑑別される。

急性リウマチ熱初発時のJones診断基準改訂版*

呈示

特異的所見

主(Major)

心炎

舞踏病

輪状紅斑

多関節炎

皮下結節

副(Minor)

関節痛

赤沈亢進またはC反応性タンパク値の上昇

発熱

PR間隔延長(心電図上)

*急性リウマチ熱を診断するには,主項目2つまたは主項目1つと副項目2つ,およびA群レンサ球菌感染の証拠(抗レンサ球菌抗体価[例,抗ストレプトリジンO抗体,抗DNase B抗体]の高値または上昇,咽頭培養陽性,または迅速抗原検査陽性)が必要となる。

Adapted from Special Writing Group of the Committee on Rheumatic Fever, Endocarditis, and Kawasaki Disease of the Council on Cardiovascular Disease in the Young of the American Heart Association: Guidelines for the diagnosis of rheumatic fever.Jones criteria, 1992 update.JAMA 268(15):2069–2073, 1992.

予後

予後は主に最初の心炎の重症度に依存する。初発時に重度の心炎を来した患者では,心疾患が残存し,しばしばリウマチ熱の再発(このような患者では特に生じやすい)により悪化することがある。心雑音は,急性エピソードが重大な心拡大や代償不全を伴わない軽症心炎であった患児の約2分の1では,最終的に消失する。炎症再発のリスクは,心炎がない場合の低リスクと,重症心炎の既往がある場合の高リスクとの中間であるが,再発が起これば永続的な心障害が生じるか,または悪化する。心炎のない患者は再発を起こす可能性が低く,ARFが再発した場合に心炎を発症する可能性も低い。シデナム舞踏病は,通常数カ月続き,ほとんどの患児において完治するが,患児の約3分の1は再発を来す。その他の症状は全て後遺症なしに沈静化する。

治療

  • アスピリンまたは他のNSAID

  • ときにコルチコステロイド

  • 抗菌薬

主な目標は,炎症の抑制と急性症状の緩和,GAS感染の根絶,そして心疾患の再発を防ぐために以後の感染を予防することである。

患者に関節炎,舞踏病,心不全の症状がある場合は,活動を全般的に制限すべきである。心炎がなければ,初発時の症状が治まった後の身体的制限は必要ない。心炎があっても症状のない患者では,床上での絶対安静の意義は証明されていない。

アスピリンにより,関節炎や心炎による発熱および疼痛が管理できる。アスピリンの用量は,臨床的な有効性が得られるか毒性作用が発生するまで漸増する。小児および青年での開始量は,15mg/kg,経口,1日4回である。夜間に効果が切れる場合は,翌日は22.5mg/kg,1日4回,その翌日は30mg/kg,1日4回と増量していく。サリチル酸塩の毒性は耳鳴,頭痛,または過呼吸として出現するが,現れるまでには1週間以上かかる。サリチル酸塩値は毒性管理のためだけに測定し,アスピリンを5日間服用するまで測定すべきではない。サリチル酸の腸溶剤,緩衝剤,および分子複合体に利点はない。他のNSAIDも使用できる。例えば,ナプロキセン7.5~10mg/kg,経口,1日2回でも,アスピリンと同等の効果がある。

治療効果が投与開始後4日たってもみられない場合(心炎や関節炎が重度の場合にときとして起こる)は,NSAIDを中止しコルチコステロイドに切り替えるべきである。

60mg/日を上限とした,プレドニゾン0.25~1mg/kg,経口,1日2回(または0.125~0.5mg/kg,経口,1日4回)が推奨される。2日経過後も炎症が抑制されない場合は,コハク酸メチルプレドニゾロンの静注ステロイドパルス療法(30mg/kg,静注,1日1回,最大1g/日,連続3日間)を行う場合がある。経口コルチコステロイドは,赤沈が1週間以上正常域にとどまるようになるまで投与し,その後は2日毎に5mgの割合で漸減する。コルチコステロイド漸減中の炎症悪化を防ぐために,同時にNSAIDの投与を開始し,コルチコステロイドの中止から2週間後まで続ける。疾患の活動性および治療に対する反応をモニタリングするために赤沈およびCRPなどの炎症マーカーを用いる。

心臓の炎症の再発(発熱または胸痛によって示唆される)は自然消失することがあるが,再発症状が数日以上続く場合,もしくは標準的管理(例,利尿薬,ACE阻害薬,β遮断薬,強心薬)によって心不全がコントロールできない場合は,NSAIDかコルチコステロイドの投与を再開すべきである。心炎の再発エピソードが遷延する患者では,免疫抑制薬が効果的となることがある。NSAIDおよびコルチコステロイドは,急性エピソードでは有用であるが,長期的な弁損傷の予防や軽減はない。

ARFが検出される時点でレンサ球菌感染後の炎症はかなり進行しているが,残存する菌体の根絶および再感染の予防に抗菌薬が使用される。適切な急性感染治療レジメンについては,レンサ球菌および腸球菌感染症の項で記載している レンサ球菌感染症を参照のこと。

抗菌薬の予防投与

レンサ球菌に対する感染予防は,再発を予防するために最初のARFエピソードの後も継続すべきである( A群レンサ球菌感染症再発に対する推奨される予防投与参照)。経口投与の抗菌薬は注射で投与されるものと同等の効果がある。経口投与の場合,有痛の注射が回避され,受診および注射後反応の観察が不要となる。筋肉内投与の場合,1日1回または2回の服用遵守の難しさが回避される。筋肉内投与レジメンは他のレジメンとの比較対象となる標準法である。

レンサ球菌に対する感染予防の至適な継続期間は不明である。心炎のない患児は,5年間または21歳まで(5年間の予防投与が完了する前に21歳になる場合)予防投与を受けるべきである。American Academy of Pediatricsは,心炎はあるが心障害残存の証拠がない小児の場合,10年間の予防療法を受けることを推奨している。心炎があり心障害残存の証拠もある小児の場合は,10年以上の予防療法を受けるべきであり,そのような患者には無期限の予防投与継続を推奨する専門家が多い。予防投与については,舞踏病のある患者では全例生涯継続すべきであり,また幼児のGASの保菌率が高いため幼児と濃厚に接触する患者でも全例継続すべきであるという意見もある。

A群レンサ球菌感染症再発に対する推奨される予防投与

レジメン

薬物

用量

標準

ベンジルペニシリンベンザチン

120万単位,筋注,3~4週毎*

27kg以下:600,000単位,筋注,3~4週毎*

代替法(例,注射を希望しない患者)

ペニシリンVまたは

スルファジアジン

250mg,経口,1日2回

27kg以下:500mg,経口,1日1回

27kgを超える:1g,経口,1日1回

ペニシリンおよびスルファジアジンにアレルギーのある患者

エリスロマイシン

250mg,経口,1日2回

*発展途上国においては,4週毎より3週毎の筋注予防投与が勝っている。

American Heart Associationは,既知のリウマチ性弁膜症患者またはその疑いのある患者(現在予防的抗菌薬投与を受けていない患者)が歯科処置または口腔外科処置のために細菌性心内膜炎に対する予防的抗菌薬投与を短期間受けることをもはや推奨していない( 感染性心内膜炎 : 予防)。

溶連菌感染後反応性関節炎

溶連菌感染後反応性関節炎は,急性リウマチ熱の基準を満たさない患者においてA群レンサ球菌感染後に発生する関節炎である。

溶連菌感染後反応性関節炎は,ARFの減弱した亜型である可能性がある。ARFの関節炎と比べ,溶連菌感染後反応性関節炎では,典型的に侵される関節の数が少なく移動性のことも少ないが,持続期間が長くアスピリンへの反応性が低い。他のNSAID(例,イブプロフェン,ナプロキセン,トルメチン)により治療可能である。心障害に対する二次予防の実地臨床は極めて多様であるが,レンサ球菌に対する感染予防を1年間行った後に心エコー検査を繰り返し行うのが妥当である。心エコー検査で心病変が検出された場合は,長期の予防投与が適応となる。

本ページのリソース一覧