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脱髄疾患の概要

執筆者: Brian R. Apatoff, MD, PhD, Weill Cornell Medical College;New York Presbyterian Hospital

中枢および末梢神経系の多くの神経線維を覆っているミエリン鞘は,軸索による神経インパルスの伝達を加速する。ミエリンを障害する疾患では神経伝達が阻害され,その症状は,神経系のいずれかの部分の障害を反映することがある。

中枢神経系の乏突起膠細胞により形成されるミエリンは,末梢でシュワン細胞より形成されるものと化学的,免疫学的に異なっている。したがって,ミエリンが障害される疾患には,主に末梢神経を侵すもの(例,ギラン-バレー症候群,慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー,その他の末梢性多発神経障害― 多発神経障害)と,主に中枢神経系を侵すものがある( 中枢神経系の脱髄が生じる可能性がある疾患)。中枢神経系においては,脳,脊髄,および視神経が最もよく障害される。

脱髄はしばしば,感染性,虚血性,代謝性,もしくは遺伝性の疾患,または毒性物質(例,アルコール,エタンブトール)によって二次的に生じることがある。原発性脱髄疾患では,原因は不明であるが,ときにウイルス感染後やウイルスワクチンの接種後に発症する場合があることから,機序として自己免疫反応が疑われている。

脱髄は分節性または斑状に生じる傾向があり,複数の領域が同時に,または連続的に侵される。しばしば再髄鞘化が生じ,神経機能の修復,再生,および完全な回復が得られる。しかしながら,広範なミエリン消失に続いて,通常は軸索変性としばしば細胞体変性が起こり,いずれも不可逆的な場合がある。

原因不明の神経脱落症状がみられる患者では,常に脱髄を考慮すべきである。原発性脱髄疾患は以下によって示唆される:

  • びまん性または多巣性の障害

  • 突然の発症(特に若年成人)

  • 感染症後またはワクチン接種後数週間以内の発症

  • 増悪と寛解を繰り返す障害

  • 特定の脱髄疾患を示唆する症状(例,原因不明の視神経炎または核間性眼筋麻痺は多発性硬化症を示唆する)

具体的な検査および治療は,個々の疾患により異なる。

中枢神経系の脱髄が生じる可能性がある疾患

分類

疾患

遺伝性疾患

フェニルケトン尿症およびその他のアミノ酸尿症

テイ-サックス病,ニーマン-ピック病,およびゴーシェ病

ハーラー症候群

クラッベ病およびその他の白質ジストロフィー*

副腎白質ジストロフィー*

副腎脊髄ニューロパチー*

Leber遺伝性視神経症および関連するミトコンドリア病

低酸素症および虚血

一酸化炭素中毒および他の遅延性の低酸素性脳脱髄症候群

進行性に生じる皮質下の虚血性脱髄

栄養欠乏

浸透圧性脱髄症候群(以前は橋中心髄鞘崩壊症と呼ばれていた)

脳梁の脱髄(Marchiafava-Bignami病)

ビタミンB12欠乏症

中枢神経系へのウイルスの直接侵入

進行性多巣性白質脳症

亜急性硬化性全脳炎

熱帯性痙性対麻痺/HTLV-1関連脊髄症

原発性脱髄疾患

再発性かつ進行性の疾患(多発性硬化症とその亜型)

視神経炎,急性横断性脊髄炎,急性播種性脳脊髄炎,急性出血性白質脳症などの単相性疾患

視神経脊髄炎

毒性物質

アルコール

エタンブトール

*一部の亜型では末梢神経系の脱髄も生じることがある。

浸透圧性脱髄症候群はNaの流動によっても引き起こされる。

HTLV-1 = ヒトTリンパ球向性ウイルス1型。

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